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新型コロナウイルス流行と喘息治療との関係 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は水曜日なので、
診療は午前中で終わり、
午後は別件の仕事で都内を廻る予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
コロナ感染と喘息.jpg
Lancet Respiratory Medicine誌に、
2021年7月9日ウェブ掲載された、
新型コロナウイルス感染症と気管支喘息についての解説記事です。

新型コロナウイルス感染症が流行することにより、
増える病気もあり、また減る病気もあります。

増えている病気の代表は痛風で、
新型コロナウイルス感染症が流行して以降、
クリニックでも痛風発作で受診される患者さんが、
多分3倍くらいには増えています。

おそらくはコロナの流行で在宅ワークが増え、
運動不足になった上に、
間食でお菓子を食べたり、
夜遅くにインスタントラーメンを食べるような食生活が、
内臓脂肪の増加に拍車を掛けて、
尿酸値がボーダーラインであったような人が、
高尿酸血症に進行して、
痛風の増加に繋がったのではないかと思われます。

その一方で減っている病気もあります。

その代表が気管支喘息の急性増悪です。

これは日本ばかりでなく、
世界の多くの国で小児喘息、成人喘息を問わず認められている現象です。

何故こうした現象が起こっているのでしょうか?

喘息の急性増悪はウイルス感染などの感染症が、
きっかけとなることが多いのですが、
新型コロナウイルス感染症対策で、
マスクをしたり密を避けたり、
手洗いをしたりの予防習慣が定着することにより、
コロナ以外のウイルス感染の機会が減り、
それが急性増悪の減少に繋がっていると想定されています。

これは喘息の患者さんにとっては朗報ですが、
喘息患者を診る医療者からすると、
それを本当の喘息の改善と考えて良いのか、
迷うところでもあります。

通常小児の喘息治療のガイドラインにおいては、
喘息のコントロールが改善し、急性増悪がなければ、
薬の減量などの措置を取ることが一般的です。

ただ、新型コロナウイルス感染症の流行期において、
同じ理屈は当て嵌まらない可能性もあります。

新型コロナ流行期の他のウイルス感染の減少は、
一時的な現象である可能性もありますし、
環境要因が一時的に変化しただけで、
喘息そのものの状態が、
改善した訳ではないという考え方もあります。

たとえば秋に喘息コントロールが改善しても、
安易に薬の減量はするべきではない、という考え方があります。
冬にはインフルエンザなどのウイルス感染症が増加するので、
そのリスクを考えるべきだと言うのです。

同様に、今の新型コロナ流行による環境変化は、
一時的な現象であると考える必要があるのではないでしょうか?

新型コロナウイルス感染症流行期の、
喘息急性増悪減少は、
非常に興味深い現象ですが、
その解釈と治療変更への考え方については、
今後慎重に検証される必要がありそうです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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