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コーヒーと不整脈リスク [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は水曜日なので、
診療は午前中で終わり、
午後は産業医面談で都内を廻る予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
コーヒーと不整脈.jpg
JAMA Internal Medicine誌に、
2021年7月19日ウェブ掲載された、
コーヒーと不整脈リスクとの関連についての論文です。

久しぶりの一流誌に載ったコーヒー関連論文です。

コーヒーが多くの健康に良い効果を持ち、
1日3杯程度のコーヒーを飲むことが、
健康に良い習慣として世界中の専門機関に認められていることは、
このブログをお読みの皆さんには、
改めて言うまでもないことかと思います。

ただ、まだコーヒーやカフェインを含む飲み物が、
良くないとされている知見もあって、
その1つがカフェインによる不整脈誘発リスクです。

一部の専門学会のガイドラインには今も、
コーヒーなどのカフェインを含む飲み物は、
不整脈を誘発するリスクがあると記載されています。

ただ、
確かにカフェインには交感神経の刺激作用があるので、
心臓を刺激して不整脈を増やすのでは、
という可能性はあります。
しかし、それは推測であって証明されたものではなく、
こうしたリスクの裏打ちとなっているデータは、
1980年代の古い観察研究があるだけです。

今回の研究はこの問題の再検証を行なったもので、
大規模な遺伝子多型を含む臨床データである、
UKバイオバンクのデータを活用して、
トータル386258名の一般住民を平均で4.5年観察し、
不整脈の発症リスクとコーヒーやカフェイン含有飲料の摂取習慣との関連を、
カフェイン代謝に関わる遺伝子多型を含めて、
比較検証しています。

その結果、
他の不整脈リスクに関わる関連因子を補正した結果として、
習慣的なコーヒーの摂取は、
1杯当たり3%、不整脈の発症リスクを低下させていました。
このリスク低下は、
特に心房細動や上室性頻拍で強く認められていました。
カフェインの代謝酵素の遺伝子多型による解析では、
カフェインの代謝と不整脈リスクとの間には、
明確な関連は認められませんでした。

このように、
少なくとも一般住民での解析では、
コーヒーの摂取は不整脈リスクを、
用量依存的に抑制していて、
その抑制効果はカフェインとは、
無関係である可能性が高いという結果です。

コーヒーが不整脈を誘発するという考え方は、
今後ガイドラインなどにおいても、
書き直される必要がありそうです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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