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劇団「地蔵中毒」第14回公演 無教訓意味なし演劇vol.14『母さんが夜なべをしてJavaScript組んでくれた』 [演劇]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は祝日でクリニックは休診です。

休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
地蔵中毒.jpg
劇団地蔵中毒の新作公演に足を運びました。

この劇団は今回が観るのは3回目です。

最初に2年前に観た時は、
シュールなコントとドタバタとがない混ぜとなっていて、
面白いところもある一方で、
ダラダラと意味不明の場面が続くような感じもあったのですが、
今年の2月に観た作品では、
かなり演出も洗練されていて、
小劇場的な奇想から、
ダイナミックなラストに至る点も魅力的でした。

今回の作品では、演出はより洗練されていて、
以前は特徴の1つとされていた、
「ゆっくりと時間を掛けた間延びする暗転」も、
殆どありませんでした。

「カラマーゾフの兄弟」が原作とされていて、
ただ、題名を借りただけなのかしら、と思っていると、
意外に原作の骨格を使用した作品になっていて、
ラスト「カラマーゾフ万歳」という台詞も、
そのまま使われていました。

ただ、皿屋敷さんの真面目な感じが出すぎたかな、
という感じもあって、
感情を梃子にして物語が予想外の方向に動く、
というようなダイナミズムがないので、
原作のある分、今回は予定調和的に流れたかな、
という感じがしました。
もう少し物語自体で盛り上がるという感じがないと、
2時間という上演時間は長すぎると思います。

ラストの巨大な作り物も素敵なのですが、
前作の「観音様から夏祭り」という奇想と比べると、
ただ大きな物を出しただけ、という感じが否めなくて、
少し物足りなさは感じました。
最後に人間の時代が終わるというのは、
小劇場の物語としては定番過ぎるので、
もう一ひねりあっても良いのではないかとも感じました。

この作品で「神殺し」というのは、
ちょっとテーマ的に重過ぎると思いますし、
赤ちゃんをラストで無雑作に投げ捨てるのは、
確か「ファンキー」でしたか、松尾スズキさんもやっていましたが、
あまりやらない方が良かったと感じました。

前回も気になったのですが、
客席には中高年のおじさんが一定数生息していて、
かつての「毛皮族」の客席を彷彿とさせました。
この劇団にはちょっとエッチな部分があって、
必ずキャットファイトみたいな場面も用意されているので、
多分その空気感が、
こうしたおじさんやおじいさんを、
樹液の蜜のように引き付けるのかな、
というように感じました。

小劇場には昔から、
こうしたニーズがあるのですね。

面白い現象だと思います。

キャストはなかなか充実していて、
演技レベルも安定しているので安心して観ていられます。
ただ、もう少し破天荒な人が数人いた方が、
より盛り上がるという気もしました。

いずれにしても、
これぞ小劇場という気分を、
今最も感じさせてくれる劇団であることは確かで、
これからも新作を楽しみに待ちたいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
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