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オミクロン対応ワクチン接種後の脳卒中リスクについて [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
コロナワクチンの脳卒中リスク.jpg
JAMA誌に2023年6月15付で掲載されたレターですが、
新型コロナワクチン接種後の脳卒中リスクについて検証したものです。

2023年の1月にアメリカのCDC(疾病予防管理センター)は、
65歳以上でファイザー・ビオンテック社の、
オミクロン対応2価ワクチン(BA.4/BA.5)を接種すると、
接種後22から42日と比較して、
接種後1から21日で虚血性脳梗塞の発症リスクが、
1.47倍(95%CI:1.11から1.95)有意に増加していた、
というデータを公表しました。

オミクロン対応ワクチン接種後の初期に、
脳卒中のリスクが高まるのではないか、
というちょっと気になる報告です。

季節性インフルエンザワクチンとの同時接種において、
よりリスクが高まることも示唆されました。

モデルナ社の同種のワクチンにおいては、
そうした結果は認められませんでした。

今回の検証は同種のワクチンを接種しているイギリスにおいて、
大規模疫学データで同様の検証を行ったものです。

イギリスにおいては2022年の秋に、
オミクロン株対応ワクチンの接種が、
50歳以上の年齢層を対象として施行されました。
トータルで1460万回の接種が施行されたという大規模なものですが、
使用されたワクチンはBA.4/BA.5対応のものではなく、
BA.1対応ワクチンが主体だという違いがあります。
接種者に接種後6882件の虚血性梗塞が発症していますが、
接種後21日以内における、有意な増加は確認されませんでした。

今回のデータはアメリカのものとは、
オミクロン株の違いがあることと、
インフルエンザワクチンとの同時接種が少ないと言う違いがあり、
同等に比較することは出来ませんが、
オミクロン対応ワクチンにおいて接種後の脳卒中リスク増加が起こる、
という現象については、
現時点で明確なものとは言えないようです。

今後同種のワクチンにおける再検証を期待したいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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