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「マリグナント 狂暴な悪夢」 [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は土曜日で、
午前午後とも石原が外来を担当する予定です。

土曜日は趣味の話題です。
今日はこちら。
マリグナント.jpg
ソウシリーズの異才、ジェームズ・ワン監督の、
新作ホラー映画が今公開されています。

複雑な生い立ちのキャリアウーマンの女性が、
奇怪な謎の黒衣の殺人鬼につきまとわれ、
その殺人を何故か同時に体験するようになります。
殺人鬼の怪人の正体は、
一体何なのでしょうか?

これね、おバカホラー映画なんですよ。
かなりぶっ飛んだ作品なんです。
怪人の正体、どうですか、馬鹿でしょ。
でも馬鹿過ぎて楽しいし興奮もするのです。
最後はちょっと切なくもなります。
最初は、どうかなあ、という感じで見ていて、
あっ、これはゴシックホラーの古城だよね、とか、
ここはマリオ・バーバのやり口で、
ここは「リング」の換骨奪胎で、
「悪魔の棲む家」もちょっと入れてるのね、
とかと思いながら、少しウトウトもしながらダレていたのですが、
後半になると異様に盛り上がって、
なるほどこれがやりたかったのね、
と得心して嬉しくなりました。

これは80年代くらいのホラーを復活させた、
という感じの作品なんですね。

クローネンバーグの「スキャナーズ」や「ビデオドローム」、
トビー・フーパーの「スペースバンパイア」、
デ・パルマの「悪魔のシスター」や「フューリー」、
当たりが好きな人ならどんぴしゃりの感じ。
本当はもっと良く似た作品が他にあるのですが、
それを出すとネタばれになるので止めておきます。

サイコスリラーのムードのある謎めいた前半から、
怪人の正体が明らかになると、
今度は力感のある活劇になり、
ラストはホラーならではの奇妙な情感に満ちたラストに至ります。

こういうのはDCコミックスの悪役に、
もっとスタイリッシュで質の高い表現が、
今では実現されているんですよね。
でも、CGのメタモルフォーゼを含めて、
あそこまで完成度が高くなってしまうと、
逆に面白みや不気味さが乏しくなって、
その特殊な情感や興奮みたいなものも、
往々にして薄まってしまうのです。

今回の作品はその点を分かった上で、
マペットなどを最大限に利用して、
怪人の表現にはCGの効果を殆ど使わず、
80年代ホラーのテイストをそのままに再現しているんですね。

それがね、皆さんはどうか分かりませんが、
とても良い感じなんですね。
勿論80年代ホラーですから、
悪趣味の極みのような世界ではあるのですが、
それを容認して頂いた上でその世界に浸ると、
ああ、やっぱりこれだよね、
という、ホラーの理想形に近い感じが確かにあるのです。

80年代ホラーの絶望的にざらついて、
希望の欠片もないような感じが、
今の社会に意外にフィットしているような気がします。

そんな訳でこの映画は、
今ならではの感じ、現代的な感じはないのですが、
80年代ホラーの再現としてはとても完成度が高く、
おバカホラー映画としては、
とても愛すべき力作だと思います。

こうした映画の好きな方には、
とてもとてもお勧めです。

何真面目に馬鹿なことをやってるの、
と楽しくなるような映画です。
この間の「キャンディマン」や「ハロウィンKILLS」の、
100倍くらいは面白いですよ。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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