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新型コロナウイルス感染症に対する中和抗体ソトロビマブの効果 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は金曜日でクリニックは休診ですが、
1日中インフルエンザワクチン接種で都内を廻る予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
ソトロビマブの効果.jpg
the New England Journal of Medicine誌に、
2021年10月27日ウェブ掲載された、
新しい新型コロナウイルス感染症の初期治療薬、
中和抗体製剤のソトロビマブの臨床試験結果をまとめた論文です。

新型コロナウイルス感染症の今後の治療において、
重要であるのはその病気の初期に投与して、
その重症化や進行を抑制するための治療薬です。

その目的で現行使用されているのは、
中和抗体2種のカクテル療法ですが、
それに加えて今その有効性の期待されている薬剤の1つが、
グラクソ・スミスクライン社が開発したソトロビマブです。

ソトロビマブ(sotrovimab)は、
もともとSARSウイルス(SARS-CoV-1)の患者から発見された中和抗体で、
それがその後新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)にも、
中和抗体として有効であることが確認されたのです。

今回の第3相臨床試験では、
有症状の新型コロナウイルス感染症に罹患して、
肥満や高齢、肺疾患など病気進行のリスクのある。
症状出現後5日以内の早期の患者、
トータル583名をくじ引きで2つの群に分けると、
一方はソトロビマブを1回500mgで単回注射で使用し、
もう一方は偽薬を使用して、
その後24時間以降29日以内の入院もしくは死亡のリスクを、
比較検証しています。

その結果、
ソトロビマブ群の1%に当たる3名と、
偽薬群の7%に当たる21名が、
入院もしくは死亡していて、
ソトロビマブは入院もしくは死亡のリスクを、
85%(97.24%CI:44から96)有意に低下させていました。
ただ、死亡の事例は偽薬群の1例のみです。
有害事象については偽薬群で有意な差はありませんでした。

このように、
早期投与で一定の有効性が期待される結果が得られました。
ただ、実際には重症化のケースはそれほど多くはないので、
この例数では充分にその有効性が示された、
とまでは言えないように思います。

今後のより詳細な検証に期待したいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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