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新型コロナウイルス感染症へのステロイドの用量比較 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は金曜日なのでクリニックは休診ですが、
人間ドックの受診予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
デキサメサゾンの容量と有効性.jpg
JAMA誌に2021年10月21日ウェブ掲載された、
新型コロナウイルス感染症に対する、
ステロイド治療の用量についての論文です。

新型コロナウイルス感染症の治療薬は、
抗体療法や飲み薬など多くが開発され、
臨床でも使用されていますが、
その殆どは緊急使用的扱いで、
使用されてはいるものの、
高いレベルでその有効性と安全性が確認されている、
というようには言えません。

その中で最もその有効性が確認されているのが、
中等症から重症に事例における。
ステロイド剤の使用です。

これは通常デキサメサゾンを1日6mg、10日間を上限に使用する、
というのが一般的な使用法ですが、
一部の臨床試験においては、
1日12mgかそれに相当する量の別の種類のステロイド剤が使用され、
有効であったと報告されています。

それでは、1日6mgのデキサメサゾンと比較した時、
より高用量のステロイド剤の使用により、
より高い有効性が得られるのでしょうか?

今回の臨床試験はヨーロッパとインドの26の病院において、
重症の新型コロナウイルス感染症の事例、
トータル1000例を登録してくじ引きで2つの群に分けると、
一方はデキサメサゾン1日6mgの通常治療を行ない、
もう一方はより高用量の1日12mgを使用して、
その経過を90日間まで比較検証しています。

その結果、
死亡リスクについては28日時点でも、90日時点でも、
高用量と比較して通常用量において、
やや高い傾向は認められたものの、
統計的に有意な差は認められませんでした。
その有害事象についても、
両群に明確な差は認められませんでした。

このように、
今回の検証では高用量のステロイド剤の有効性は、
明確には示されませんでした。
ただ、その有効性を完全に否定出来るという結果ではなく、
今後もステロイドの適正な用量については、
議論が続くことになりそうです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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