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人工甘味料と砂糖の食欲への影響 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は金曜日でクリニックは休診です。
台風のため予定は取りやめましたが、
終日レセプトなど事務作業の予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
人工甘味料と砂糖の差.jpg
JAMA Network Open誌に、
2021年9月28日ウェブ掲載された、
人工甘味料と砂糖のジュースを飲んだ時の、
脳や食欲への影響を比較した論文です。

糖質は身体にとって必要な栄養素ですが、
ブドウ糖や果糖、およびそれが結合した糖質は、
甘くてどうしても摂取過多になりやすく、
その過剰摂取は肥満の原因となって、
健康に悪影響を来すことが指摘されています。

その代わりに最近多用されているのが、
0カロリーの人工甘味料ですが、
こちらも過食の原因となったり、
インスリン分泌を刺激して高インスリン血症を惹起するなどの、
別個のリスクが危惧されるという側面があります。

ただ、この人工甘味料の健康リスクについては、
研究方法によっても違いがあるなど、
あまり実証的なことが分かっているとは言えません。

今回の研究はアメリカにおいて、
18歳から35歳の病気のない一般住民76名を対象にしたもので、
水と人工甘味料のスクラロース、
ショ糖(スクロース)をそれぞれ一定量飲んだ後の、
機能性MRIによる脳の変化と、
食事量への影響を比較検証したものです。

その結果、特に肥満した女性においては、
ショ糖よりむしろ人工甘味料を飲んだ後で、
脳の食欲に関連する部位の神経機能が活性化され、
その後の食事量も増加する、
という変化が認められました。
こうした変化は男性や肥満のない女性では、
明確には認められませんでした。
人工甘味料を飲んだ後で、
インスリンなど代謝関係のホルモンなどの濃度には、
明確な変化は認められず、
こうした人工甘味料の食欲増進作用は、
代謝を介したものではない、
という可能性が示唆されました。

今回の研究では、
肥満した女性に限っては、
人工甘味料は砂糖よりむしろ強力に、
過食を刺激するという結果が得られました。

今後より詳細な検証が必要な知見ですが、
人工甘味料が場合によってはダイエットに逆効果である、
というデータは非常に興味深く、
今後の研究の蓄積に期待したいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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