「燃えよ剣」(2021年公開映画版) [映画]
こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は日曜日でクリニックは休診です。
休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
司馬遼太郎さんの「燃えよ剣」を原作とした映画が、
今ロードショー公開されています。
新撰組副長、土方歳三が主人公で、
彼自身の語りにより、
その波乱に富んだ人生が俯瞰的に描かれます。
これはなかなか王道の歴史物で良かったですよ。
デビット・リーンとか、
かつての歴史大作みたいな作りなんですね。
主人公本人が五稜郭で、
死の突撃の寸前に語るというスタイルも、
昔の歴史物に良くあったものですし、
エピソードによって語り口を変えているのがいいんですね。
それから俯瞰の移動撮影で戦闘シーンを見せるでしょ。
尺は短いですが、
戊辰戦争のところとか、
なかなか頑張っているなあ、と思いました。
この間の「最後の決闘裁判」でも、
俯瞰は結局CG頼みで、
生身の群衆シーンはほぼなかったですよね。
アップから始まってゆっくりキャメラが引いてゆくと、
兵士がばあっと一方向に流れていって、
敵とぶつかるという雄大な移動撮影は、
かつてはシネスコの大作の代名詞のような場面でしたが、
今は殆どないですよね。
それを規模はそれほど大きくないですが、
しっかりやっている、というところに、
とても感銘を受けました。
結構やるじゃん、という感じです。
原田眞人監督は癖がありますよね。
変な踊りを必ず入れたり、
一部の登場人物を悪意を持ってデフォルメしたり。
今回も無意味に踊る場面はありますし、
徳川慶喜を無能と卑劣の極地のように描くところなどはあるのですが、
トータルにはそうした悪い癖はそれほど多くはなく、
まずは王道のタッチを楽しむことが出来たのは幸いでした。
キャストも岡田准一さんは、
土方を他にこれだけやれる人はまずいないな、
と思わせる熱演でしたし、
沖田総司の山田涼介さんが、
とても良かったですね。
一部にオヤオヤというキャストもいましたが、
トータルには良い座組だったと思います。
上映時間は2時間半で、駆け足という評が多いのですが、
個人的にはそうは思いませんでした。
これは3時間くらいの尺を、
頑張って30分縮めているんですね。
死の寸前からの語りという形式を巧みに利用して、
緩急を付けているんです。
それで作品としてはかなり引き締まったと思います。
後半主人公とお雪さんとの静かな生活を描いているのは、
おそらく「ドクトル・ジバゴ」がやりたかったんですね。
ちょっと微笑ましく感じました。
この内容としては予算も時間も少なかったのだと思いますし、
撮り切れていない感じのところもあるのですが、
それでも今の邦画の状況としては、
相当踏ん張って作られた歴史絵巻で、
これはもうデビット・リーンを観る気分で、
是非じっくり観て頂きたいと思います。
結構お勧めです。
それでは今日はこのくらいで。
皆さんも良い休日をお過ごし下さい。
石原がお送りしました。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は日曜日でクリニックは休診です。
休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
司馬遼太郎さんの「燃えよ剣」を原作とした映画が、
今ロードショー公開されています。
新撰組副長、土方歳三が主人公で、
彼自身の語りにより、
その波乱に富んだ人生が俯瞰的に描かれます。
これはなかなか王道の歴史物で良かったですよ。
デビット・リーンとか、
かつての歴史大作みたいな作りなんですね。
主人公本人が五稜郭で、
死の突撃の寸前に語るというスタイルも、
昔の歴史物に良くあったものですし、
エピソードによって語り口を変えているのがいいんですね。
それから俯瞰の移動撮影で戦闘シーンを見せるでしょ。
尺は短いですが、
戊辰戦争のところとか、
なかなか頑張っているなあ、と思いました。
この間の「最後の決闘裁判」でも、
俯瞰は結局CG頼みで、
生身の群衆シーンはほぼなかったですよね。
アップから始まってゆっくりキャメラが引いてゆくと、
兵士がばあっと一方向に流れていって、
敵とぶつかるという雄大な移動撮影は、
かつてはシネスコの大作の代名詞のような場面でしたが、
今は殆どないですよね。
それを規模はそれほど大きくないですが、
しっかりやっている、というところに、
とても感銘を受けました。
結構やるじゃん、という感じです。
原田眞人監督は癖がありますよね。
変な踊りを必ず入れたり、
一部の登場人物を悪意を持ってデフォルメしたり。
今回も無意味に踊る場面はありますし、
徳川慶喜を無能と卑劣の極地のように描くところなどはあるのですが、
トータルにはそうした悪い癖はそれほど多くはなく、
まずは王道のタッチを楽しむことが出来たのは幸いでした。
キャストも岡田准一さんは、
土方を他にこれだけやれる人はまずいないな、
と思わせる熱演でしたし、
沖田総司の山田涼介さんが、
とても良かったですね。
一部にオヤオヤというキャストもいましたが、
トータルには良い座組だったと思います。
上映時間は2時間半で、駆け足という評が多いのですが、
個人的にはそうは思いませんでした。
これは3時間くらいの尺を、
頑張って30分縮めているんですね。
死の寸前からの語りという形式を巧みに利用して、
緩急を付けているんです。
それで作品としてはかなり引き締まったと思います。
後半主人公とお雪さんとの静かな生活を描いているのは、
おそらく「ドクトル・ジバゴ」がやりたかったんですね。
ちょっと微笑ましく感じました。
この内容としては予算も時間も少なかったのだと思いますし、
撮り切れていない感じのところもあるのですが、
それでも今の邦画の状況としては、
相当踏ん張って作られた歴史絵巻で、
これはもうデビット・リーンを観る気分で、
是非じっくり観て頂きたいと思います。
結構お勧めです。
それでは今日はこのくらいで。
皆さんも良い休日をお過ごし下さい。
石原がお送りしました。