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新型コロナウイルスワクチン3種類の比較(アメリカ救急医療の疫学データ) [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は水曜日なので、
診療は午前中で終わり、
午後は事務作業などに宛てる予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
コロナワクチン3種の比較.jpg
the New England Journal of Medicine誌に、
2021年10月7日掲載された、
アメリカで使用された3種類の新型コロナウイルスワクチンの、
効果を比較した論文です。

個々の新型コロナウイルスワクチンの有効性は、
多くの臨床試験において検証され、
特にファイザー・ビオンテック社とモデルナ社の、
2種類のmRNAワクチンについては、
有症状の新型コロナウイルス感染症への高い予防効果が確認されています。

ただ、実臨床において、
新型コロナウイルス感染症の入院や重症化を、
どの程度予防したかを示すデータは、
それほど多くはありません。
また、個々のワクチンの有効性を直接比較したようなデータも、
あまりまとまったものはないのが実際です。

今回のデータはアメリカにおいて、
2種類のmRNAワクチンと、
ジョンソン・エンド・ジョンソン社のウイルスベクターワクチンの、
3種類のワクチンの有効性を、
187の病院への50歳以上の41552名の入院事例と、
221カ所の救急医療機関への50歳以上の21522名の救急受診事例を、
ワクチンの接種歴と併せて解析することで、
比較検証しているものです。

その結果、
どちらかのmRNAワクチンを2回接種後14日以上経過した場合には、
新型コロナウイルス感染症に伴う入院を89%(95%CI:87から91)、
集中治療室への入室を90%(95%CI: 86から93)、
救急受診のリスクを91%(95%CI: 89から93)、
それぞれ有意に低下させていました。
この重症化予防効果は、
2種類のワクチン間では明確な差はなく、
85歳以上の年齢層でも、慢性疾患においても、
黒人やヒスパニック系の人種でも、
81から95%の高いレベルで認められました。

ジョンソン・エンド・ジョンソン社のウイルスベクターワクチンについては、
新型コロナウイルス感染症に伴う入院のリスクを68%(95%CI:50から79)、
救急受診のリスクを73%(95%CI:59から82)有意に低下させていました。

このように、
2種類のmRNAワクチンは、
接種終了後112日までの期間という限定の上ですが、
ほぼ同様の高い重症化予防効果を示していました。
ウイルスベクターワクチンについては、
かなりその有効性は見劣りがするのですが、
それでも一定の有効性が確認されています。

今後はワクチンのより長期の有効性と、
ブースター接種を含めたその作用減弱への対策に、
ワクチンの検証は移りつつあるように思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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