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「キャンディマン」(2021年再映画化版) [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は日曜日でクリニックは休診です。

休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
キャンディマン.jpg
ホラーの鬼才ジョーダン・ピールが、
製作と共同脚本に当たった新作ホラーで、
1992年の同題映画の続編的なニュアンスですが、
これまでのピールの映画以上に、
黒人差別の告発的雰囲気の強い映画です。

91分でタイトにまとまっていて、
その意味では悪くないのですが、
スタイリッシュでとても不気味で気持ち悪くはあるのですが、
あまり怖いという感じではなく、
全体的にも社会派ドラマ的部分と、
ホラーというおどかし娯楽映画としての部分が、
あまり上手く整理されていない、
という印象を受けました。

主人公の若い黒人が、
キャンディマンの都市伝説を調べ始めたところから、
どんどん闇の世界に入って行くというのは、
定番のサイコスリラーの感じなのですが、
その一方でキャンディマンと鏡の前で唱えるだけで、
お化けがすぐに登場して殺されるという場面も、
最初から連発されるので、
観ていてもどちらが主筋なのか分からず、
どちらも中途半端に思えて落ち着きません。
ラストから逆算して考えると、
キャンディマンはその時空では常に1人でないと、
いけないのではないかと思われるのですが、
実際には何でもありで、
そうした内容ではないのです。

お化けに殺される場面が、
それなりに見せ場として成立していれば良いのですが、
残酷描写も中途半端ですし、
さんざん思わせぶりをしておきながら何も起こらず、
そのアパートの部屋をグッと引きにして、
100メートルくらい離れると、
窓越しにお化けに襲われる、というような場面もあって、
斬新なキャメラワークと言えなくもありませんが、
肝心のところをとても小さくしか見せないので、
何じゃこりゃ、という気持ちが拭えません。

ともかく監督は、
怖がらせのショッカー演出というものは、
基本的に出来ないし、
おそらくやりたくもないという人なので、
確かに凝った映像もあるし、
スタイリッシュな演出もあって、
それなりに才能もあるのだろうな、とは思うのですが、
とてもホラーの撮れる人ではないのではないか、
というのが個人的な感想でした。

登場人物の全てが、
不幸になるか死んでしまうという暗澹とする作品で、
それが全て警官や白人に迫害されて殺された、
無垢の黒人の恨みなのだから仕方がない、
ということになるので、
かなりしんどい鑑賞となりました。

ジョーダン・ピールの作品がお好きな方は、
今回はスキップしておいても良いように思います。
気分が暗くなるのは必定なので、
メンタルの強い方のみご覧ください。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
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