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新型コロナウイルス感染症の家族の免疫獲得状況と家族内感染リスク [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
ワクチンと家族内感染リスク.jpg
JAMA Internal Medicine誌に、
2021年10月11日ウェブ掲載された、
新型コロナウイルス感染症の家族内感染についての論文です。

新型コロナウイルス感染症の流行時期には、
その拡大に最も大きな影響を与える因子の1つが、
家族内感染です。

デルタ株主体の流行となった第5波と言われる時期には、
5人家族に1人の感染者が発生すると、
たちまちのうちに残りの家族全員が感染する、
という事態が日常的に起こっていました。

病院も宿泊療養施設も一杯で、
本来すぐに隔離するべき患者さんが、
自宅療養で待機するしかなくなったので、
その高い感染力も相俟って、
家族内感染により感染者は数倍に膨れ上がったのです。

それでは、家族の中に、
ワクチンを2回接種していたり、
以前に新型コロナウイルス感染症に罹患していて、
免疫が充分にあると想定される成員がいることで、
残りの免疫のない家族の感染リスクは、
どの程度低下するものなのでしょうか?

今回の検証はスウェーデンにおいて、
2から5人で構成される814806家族の感染状況を解析した、
国レベルの非常に大規模なものです。

それによると、
家族の中に以前の感染があったか、
ワクチンを2回接種済みの、
免疫があると想定される成員が多くいるほど、
免疫のない家族への家族内感染のリスクは低い、
という結果が得られました。

免疫のある成員が1人いるだけで、
家族内感染のリスクは45から61%(95%CI:0.37から0.61)、
有意に低くなり。
免疫のある成員が2人になると75から86%、
3人で91から94%、
4人では97%とそれぞれ有意に低くなっていました。

このように、
ワクチン接種が進むことにより、
それが家族の全員ではなくても、
家族内感染のリスクはかなり低くなっていて、
これが新型コロナウイルス感染症のコントロールの、
1つのポイントであるのかも知れません。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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