SSブログ

芸術参加と健康との関係について [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は金曜日でクリニックは休診ですが、
老人ホームの診療などには廻る予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
藝術参加と健康.jpg
2019年のBritish Medical Journal誌に掲載された、
芸術参加と健康との関連についての論文です。

芸術に日常的に親しむことが、
心を豊かにする、というような言い方は、
しばしば行われています。

その人生における価値については、
日本より欧米の方がより高く考えることが多いようです。

それでは、こうした活動が、
健康に与える影響はあるのでしょうか?

それを真面目に検証したのが今回の研究です。

イギリスにおいて、
登録時に50歳以上の一般住民、
トータル6710名を14年という長期間観察し、
芸術参加と生命予後との関連を検証しています。

この場合の芸術参加というのは、
美術館や画廊に行ったり、
展覧会や演劇、オペラ、コンサートなどに行くことを意味しています。

その結果、
全く芸術鑑賞の機会がない人と比較して、
年に1から2回そうした機会のある人は、
総死亡のリスクが14%(95%CI: 0.77から0.96)、
数か月に1回以上ある人は、
総死亡のリスクが31%(95%CI: 0.59から0.80)、
それぞれ有意に低下していました。

これは勿論芸術鑑賞そのものの健康効果、
というようには言えません。
むしろそれに付随する生活そのもののゆとりのようなものが、
背景にあるように思われますが、
いずれにしても、
芸術鑑賞の機会を持つような生活が、
健康的にも良い可能性があることは確かで、
日本ではあまり受け入れられない考え方ですが、
生活の質と健康との関係についても、
食事や運動などと共に、
今後より議論される必要はありそうです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
nice!(6)  コメント(0)