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年齢に伴う脈拍の変化と健康 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
脈拍増加と心血管疾患リスク.jpg
2019年のBMC Cardiovascular Disorders誌に掲載された、
安静時の脈拍と健康についての論文です。

一生のうちに心臓が打つ脈の数は決まっている、
とか、
脈が早いほど寿命が短い、
というような言い方が時々されることがあります。

確かに安静時の脈拍数と生命予後との関係を検証した研究は、
これまでに複数あり、
概ね脈拍が早いほど死亡リスクが高い、
という結果になっていることは事実です。

ただ、実際には脈拍が早くなるような原因は、
貧血や心臓病など数多くあり、
そうした明確な病気による影響を除外すると、
それでも脈拍数と健康との間に関連があるのか、
という点については、
あまり明確なことが分かっていません。

肥満があって運動不足の人は、
確かに脈拍は早くなる傾向はあり、
それが生命予後と関連している可能性はありそうですが、
脈拍が単独の指標として、
どの程度重要であるかは、
まだ明らかとは言えないのです。

今回の研究はイスラエルの疫学研究のデータを活用したもので、
登録の時点で心血管疾患の既往のない6683名の安静時の脈拍数を、
2.9年の期間をおいて2回計測し、
経年的な脈拍の差と、
健康との関連を検証しています。

その結果、安静時の脈拍は加齢に伴って低下し、
2.9年の期間において平均で1.1回低下していました。
一方で経年的に脈拍数が増加することは、
運動不足や体重増加、脂質異常症などと強く結びついていました。

要するに、
年齢と共に安静時の脈拍数は、
徐々に低下することが正常で、
それが逆に増加するときには、
体重増加は運動不足など、
不健康な生活習慣と結びついている可能性が高い、
という結果です。

脈拍数は単独で評価するのではなく、
経年的な経過をみることが、
より重要であるのかも知れません。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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