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「野生の証明」(1978年映画版) [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は祝日でクリニックは休診です。

休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
野生の証明.jpg
1978年に角川映画の第三作として公開された、
「野生の証明」を、
今回レセプトをしながらyou tubeで、
初めて全編を通して見ました。

角川映画は最初の「犬神家の一族」は、
中学生の同級生同士で観に行ったのですが、
それ以降は「時をかける少女」を名画座で観たくらいで、
あまり映画館では観ていません。

この映画はねえ、割と凄いんですよ。

ただ、これを映画館で観たらどう思ったかと考えると、
まあ「金返せ!」という気分にはなったと思います。
テレビやネットで見るくらいで、
丁度良い感じの仕上がりですね。

以下ネタバレがあります。

ただ、話は意味不明のところが多いので、
むしろあらすじを読んでから映画を見た方が良いくらいです。
原作を是非先入観なく読みたいという、
コアな方以外はお読みになって頂いても問題はないと思います。

これね、
高倉健演じる主人公が自衛隊の秘密部隊の一員で、
訓練中に連続殺人鬼を殺してしまうんです。
それで事件は隠されたまま、自衛隊も除隊になります。
その犯人の娘が薬師丸ひろ子で、
記憶喪失になっているのを、
自分の娘と偽って健さんは引き取ります。

そして、
これも殺人鬼の犠牲になった女性の、
双子の妹の中野良子さんを見守るために、
中野さんが地方紙の記者をしているある田舎町に、
健さんは保険の調査員として勤務するのです。

その田舎町が、
土建屋と暴力団に結託して支配されている暗黒の町で、
その悪事を暴こうと無謀な挑戦をしている中野さんは、
すぐに睨まれて殺されそうになり、
そこに当然の如く健さんが巻き込まれてゆくのです。

まあ、ここまでなら、道具立てがゴタゴタはしているものの、
普通のハードボイルドアクションのパターンですよね。

ただ、町の悪のボスが三國連太郎で、
その不良息子で暴走族のヘッドが舘ひろし、
配下の暴力団を仕切っているのが成田三樹夫で、
その子分に梅宮辰夫という濃いメンバーなので、
その抗争を見ているだけでもうただ事ではありません。

更に後半になると、
健さんの元職場の自衛隊が、
健さんを抹殺しようと牙を剥きます。
その大ボスが丹波哲郎で、
健さんの元上司の隊長に松方弘樹ですから、
こちらも敵に不足はありません。

要するに自衛隊全部対健さん1人という、
壮絶なことになるのです。

凄いでしょ。

抗争では舘ひろし、梅宮辰夫、成田三樹夫、松方弘樹が、
次々と壮絶に最後を遂げてゆきます。

三國連太郎が駄目息子を溺愛していて、
危険からはなるべく遠ざけようとしているのに、
舘ひろしの馬鹿息子はわざわざ健さんにちょっかいを出して、
それであっさり殺されてしまって三國連太郎が大狂乱、
という辺りは定番ですが上手い趣向です。
悪の方にも強い絆を用意しておくのが、
こうした作劇の定番ですね。
それがとても活きています。

ただ、予告編には、
戦車部隊と薬師丸ひろ子を背負った健さん1人が、
対峙しているという場面が登場するのですが、
実はこれがラストシーンなんですよね。
「対決するぞ!」というところで終わってしまうんですね。
これじゃ映画館で観れば、
「金返せ!」って言いたくなりますよね。

それがこの映画がテレビで充分という主な理由です。

これね、雰囲気は「マッドマックス怒りのデスロード」みたいなんですよね。

自衛隊の車両がバンバン走るところなんて、
砂漠を悪の車列が大行進するみたいでしょ。
これで大ボスの丹波哲郎と健さんが対決して、
悪の自衛隊を全滅させたら、
歴史に残るカルト大傑作になったと思いますが、
まあ予算的にも内容的にも無理だったのだと思います。

この映画は自衛隊を完全に悪の軍団として描いていて、
勿論自衛隊の協力など得られないので、
アメリカの戦車を使って、
アメリカロケで撮影しているんですよね。
そこまでして悪の自衛隊を描きたかったのかしら、
と今思うとちょっと不思議な感じもするのですが、
そういう時代であったのだと思います。

その後角川映画は「戦国自衛隊」で、
少し別の方向に舵を切ることになります。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
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