鴻上尚史「ベター・ハーフ」(2017年再演版) [演劇]
こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は土曜日で午前中は石田医師の担当で、
午後は石原が外来を担当する予定です。
今日は土曜日なので趣味の話題です。
今日はこちら。
鴻上尚史さんの作・演出で、
2015年に初演されて好評だった4人芝居「ベター・ハーフ」が、
3人は同一キャストで再演されました。
風間俊介さん、中村中さん、片桐仁さんは再登板で、
初演の真野恵里菜さんだけが、
今回は松井玲奈さんに代わっています。
これはトランス・ジェンダーを扱った恋愛喜劇で、
4人の恋愛模様が高度な知的パズルのように、
何度も組み直されて展開され、
それ以外の要素はラストに至るまで全くない、
というある意味とても潔い作品です。
初演も観ているのですが、
その時の感想を読み直してみると、
前半の軽快で完成度の高い展開には、
とても感心しながらも、
たとえば性別の問題やトランスジェンナーの問題などに、
テーマが深化してゆかないところに不満がありました。
ただ、再演を観て思うことは、
この作品は薄っぺらな恋愛以外に何もテーマがない、
という潔さこそが値打ちであり魅力で、
鴻上さんの新境地として評価するべきではないか、
ということです。
一緒に行った妻は、
これまで観た芝居の中で、
最も面白かったような気がした、
と絶賛していましたから、
娯楽作品として間違いのない成功であったのだと思います。
鴻上さんは「偉大なる素人」というようなタイプの劇作家で演出家だと思います。
良い意味でも悪い意味でも、
高校演劇のようなテイストが全編に溢れていて、
こんなことは普通プロはしないよなあ、
というようなことを臆面もなくやるところが、
その魅力でもあり欠点でもあると思うのですが、
今回の作品は非常に垢抜けたプロっぽい仕上がりになっていて、
映像の使い方もセンスのあるものでしたし、
場面転換や雰囲気の変え方なども鮮やかでした。
4人だけの出演者であるのに、
あまりせせこましい感じの物語にはならず、
他に登場人物がいないことの違和感も、
殆ど感じさせない、と言う点も凄いと思います。
4人のキャストはいずれも好演で、
再登板の3人の遣り取りの軽快な心地良さは、
ある意味第三舞台時代を超えるテンポ感だったと思います。
松井玲奈さんも良く3人に食いついていたと思います。
ただ、何と言ってもこの作品の成功は、
完全なあて書きの中村中さんの存在にあって、
随所に挟まれる弾き語りの歌も素晴らしく、
初演時より更に自然な演技が、
しっかりと作品の中心に存在をしていました。
そんな訳で観終わってまたすぐ観たくなる楽しい舞台で、
鴻上さんの最近のスマッシュヒットであることは、
間違いがないと思います。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は土曜日で午前中は石田医師の担当で、
午後は石原が外来を担当する予定です。
今日は土曜日なので趣味の話題です。
今日はこちら。
鴻上尚史さんの作・演出で、
2015年に初演されて好評だった4人芝居「ベター・ハーフ」が、
3人は同一キャストで再演されました。
風間俊介さん、中村中さん、片桐仁さんは再登板で、
初演の真野恵里菜さんだけが、
今回は松井玲奈さんに代わっています。
これはトランス・ジェンダーを扱った恋愛喜劇で、
4人の恋愛模様が高度な知的パズルのように、
何度も組み直されて展開され、
それ以外の要素はラストに至るまで全くない、
というある意味とても潔い作品です。
初演も観ているのですが、
その時の感想を読み直してみると、
前半の軽快で完成度の高い展開には、
とても感心しながらも、
たとえば性別の問題やトランスジェンナーの問題などに、
テーマが深化してゆかないところに不満がありました。
ただ、再演を観て思うことは、
この作品は薄っぺらな恋愛以外に何もテーマがない、
という潔さこそが値打ちであり魅力で、
鴻上さんの新境地として評価するべきではないか、
ということです。
一緒に行った妻は、
これまで観た芝居の中で、
最も面白かったような気がした、
と絶賛していましたから、
娯楽作品として間違いのない成功であったのだと思います。
鴻上さんは「偉大なる素人」というようなタイプの劇作家で演出家だと思います。
良い意味でも悪い意味でも、
高校演劇のようなテイストが全編に溢れていて、
こんなことは普通プロはしないよなあ、
というようなことを臆面もなくやるところが、
その魅力でもあり欠点でもあると思うのですが、
今回の作品は非常に垢抜けたプロっぽい仕上がりになっていて、
映像の使い方もセンスのあるものでしたし、
場面転換や雰囲気の変え方なども鮮やかでした。
4人だけの出演者であるのに、
あまりせせこましい感じの物語にはならず、
他に登場人物がいないことの違和感も、
殆ど感じさせない、と言う点も凄いと思います。
4人のキャストはいずれも好演で、
再登板の3人の遣り取りの軽快な心地良さは、
ある意味第三舞台時代を超えるテンポ感だったと思います。
松井玲奈さんも良く3人に食いついていたと思います。
ただ、何と言ってもこの作品の成功は、
完全なあて書きの中村中さんの存在にあって、
随所に挟まれる弾き語りの歌も素晴らしく、
初演時より更に自然な演技が、
しっかりと作品の中心に存在をしていました。
そんな訳で観終わってまたすぐ観たくなる楽しい舞台で、
鴻上さんの最近のスマッシュヒットであることは、
間違いがないと思います。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。