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飲み物の選択と糖尿病の予後との関連 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
飲み物と糖尿病の予後.jpg
British Medical Journal誌に、
2023年4月19日付で掲載された、
2型糖尿病の患者さんが普段飲んでいる飲み物が、
患者さんの予後に与える影響についての論文です。

砂糖などの糖質を含むジュースなどの甘い飲み物が、
血糖値を上昇させて肥満の原因となり、
糖尿病や心血管疾患のリスクとなって、
生命予後にも悪い影響を与えることは、
これまでにも複数の疫学データで指摘をされていて、
そうした健康リスクを背景に、
イギリスでは砂糖税が導入されていることは、
これまでにも話題にしたことがあります。

ただ、こうしたデータは主に、
持病のない一般住民のデータを元にしているものです。

2型糖尿病の患者さんでは、
砂糖を多く含むような飲み物を飲むことで、
血糖コントロールが悪化することが想定されるため、
各種ガイドラインではジュースなどを控え、
飲み物はノンカロリーや低カロリーのものにすることが推奨されています。

しかし、実際には2型糖尿病の患者さんを対象とした、
砂糖を含む清涼飲料水などのリスクを、
検証したデータは実際にはあまり存在していません。

そこで今回の研究では、
アメリカの医療従事者を対象とした、
大規模な疫学研究のデータを活用して、
2型糖尿病と診断された患者さん、
トータル15486名を中間値で18.5年観察しています。

その結果、
砂糖を含む清涼飲料水を殆ど飲まない場合と比較して、
毎日1杯以上飲む糖尿病患者は、
総死亡のリスクが20%(95%CI:1.04から1.37)有意に増加していました。
高脂肪の牛乳を常用する人も、
総死亡のリスクは増加する傾向を示しましたが有意ではなく、
人工甘味料を含むゼロカロリーの清涼飲料水やフルーツジュースの常用は、
総死亡に明確な影響を与えていませんでした。

その一方で、
日4杯以上のコーヒーは26%(95%CI:0.63から0.86)、
1日2杯以上の紅茶は21%(95%CI:0.71から0.89)、
1日5杯以上の水は23%(95%CI:0.70から0.85)、
1日2杯以上の低脂肪乳は12%(95%CI:0.80から0.96)、
それぞれ総死亡のリスクを有意に低下させていました。

同様の傾向は心血管疾患のリスクと、
心血管疾患による死亡のリスクについても認められました。

このように、
2型糖尿病の患者さんにおいても、
一般の住民データと同じように、
砂糖を含む清涼飲料水や高脂肪の牛乳の常用は、
総死亡のリスクや心血管疾患のリスク増加に結び付いている一方、
それを水やコーヒー、紅茶などに置き換えることにより、
そのリスク低下に寄与するという可能性が示されました。

砂糖などを含む清涼飲料水が、
健康に最も悪影響を与えるという知見は、
一般住民と糖尿病患者の双方において、
明確な事実と考えて間違いはないようです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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