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「砂の女」(安部公房原作 ケラ演出版舞台) [演劇]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は土曜日で午前中は石原が、
午後2時以降は須田医師が外来を担当する予定です。

土曜日は趣味の話題です。
今日はこちら。
砂の女.jpg
ケラが奥さんの緒川たまきさんを主役にして、
上演する演劇シリーズの1作として、
安部公房の代表作の1つで、
勅使河原宏監督の映画も有名な「砂の女」を、
ほぼ原作通りに舞台化しました。

別役実さんの作品を思わせる寸劇的挿話や、
同じ場面を悪夢的に繰り返す、
天野天街演出的パートなどはオリジナルの入れ事ですが、
主役2人の場面はほぼ原作通りに再現されています。
オープニングとラストも原作通りです。

うーん、悪くはないのですが、
舞台にするにはちょっと地味な素材ですよね。
穴の中に閉じ込められた、という雰囲気は、
確かに良く出ているのですが、
暗くて動きのない話なので、
段々観ていてしんどくなってしまうのです。

それから「砂」を使っていないのですね。
シアタートラムのような劇場では、
おそらく無理であったのだと思うのですが、
この作品は「砂」が主役のようなものなので、
舞台上に「砂」があるべきではないかと感じました。
性的な雰囲気も、
女は妊娠する訳ですし、
もう少しリアルにないと、
作品として成立はしにくいかなと感じました。

そんな訳で、原作の雰囲気はそれなりに出ていたと思いますし、
主役2人の芝居も悪くなく、
いつもながら映像や音効の使い方も上手いなあ、
というようには思うのですが、
この原作を取り上げるのであれば、
もっと突っ込んだ男女の性の表現が必要であったと思いますし、
「砂」の感触もリアルにあるべきではなかったかと思います。
逆に言えばそうした要素なしにこの作品を演劇化するのは、
それほど意味のある試みではなかったように思いました。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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