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「サマーフィルムにのって」 [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は日曜日でクリニックは休診です。

休みの日は趣味の話題です。

今日はこちら。
サマーフィルムにのって.jpg
新鋭松本壮史監督の長編青春映画で、
テレビの情報番組で、
「カメラを止めるな」の再来、
のような宣伝がされていたので、
ちょっと興味を持って観て来ました。

内容も「時をかける少女」をモチーフにした、
青春映画とSFと時代劇の融合ということなので、
これは僕の大好物ではないかしら、
という期待を持って、
他の映画の予定を差し替えての鑑賞になりました。

うーん。

悪くはなかったのですが、
ちょっと騙されました。

「カメラを止めるな」の再来というのは、
ミニシアターで予想を超えるロングラン、
という意味で、
同じような意外性のある、
技巧的な映画ということではないのですね。

小劇場っぽい、というところは似ていなくはないのです。
「カメラを止めるな」は、
小劇場のお芝居が1つのモチーフというか、
元ネタとなっていますし、
この「サマーフィルムにのって」は、
台本にロロの三浦直之さんが参加していますでしょ。
そういうところはちょっと似ているのです。
ただ、「カメラを止めるな」は、
普通演劇でやるようなことを、
わざわざ映画でやったという意外性が、
良い方向に作用していたと思うのですが、
この作品では小劇場っぽさが、
ラストの処理にあるのですが、
それがあまり上手く機能していない、
という感じがあるのですね。

最後一番映像の見せ場になる筈のところで、
いきなり小劇場演劇をやってどうするの!
というのが小劇場も映画も大好きな人間としての、
観終わっての実感でした。

これじゃ駄目だよ。

ただ、勿論良いところもあるのですね。

映画のクオリティとしては、
「カメラを止めるな」より格段に良く出来ているのですね。
比較するのも恥ずかしいくらい。
こちらは堂々たるプロの映画です。
一方で「カメラを止めるな」はアイデア一発で、
映画としてのクオリティは、
もろ素人レベルでしたよね。
そこはまるで違います。

役者もいいですよね。
ヒロインの伊藤万理華さんの個性が、
とてもとても面白いですし、
周りのキャラも魅力的ですよね。
観ているだけで元気が出るような、
ウキウキするような感じがあります。
リアルではなくて、
主に20代前半くらいの役者さんが高校生を演じています。

内容的にも大林信彦監督の初期の青春映画みたいな感じが、
ちょっとあるんですね。
ただ、そこまで遊んでいる感じではなくて、
もっと弾けてくれるだろう、と期待して観ていると、
何か真面目に映画を作っているだけで終わってしまう、
というのが物足りなく感じるところです。
これだけのお話なら、
どうして未来人なんて登場させたの?
とはどうしても思ってしまいます。
むしろラストに登場人物の10年後を見せる、
というようなド定番の趣向の方が、
作品のテーマは活かせたのではないかしら、
というように感じました。

一番の不満はラストで、
個人的にはこりゃないよね、と思いましたが、
映画畑のファンの方は、
こうした処理にむしろ意外性を感じるのかもしれません。
僕の感想としては、
小劇場の悪いところが出たな、という気がして、
脱力してしまいました。

テーマ曲の「異星人と熱帯夜」はとても良くて、
最近はエンドレスで聴いています。
あの曲がベストフィットするような、
変な演劇臭のないSF青春映画だったら良かったのに、
というのが個人的な思いです。

ちょっと騙されました。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
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