SSブログ

新型コロナ嗅覚障害の変異株毎の頻度比較 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は金曜日でクリニックは休診ですが、
老人ホームの診療などには廻る予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
コロナの嗅覚障害の型別比較.jpg
JAMA誌に2022年6月24日掲載されたレターですが、
新型コロナウイルス感染に、
特徴的な症状の1つである嗅覚障害の、
変異株毎の頻度を比較した内容です。

嗅覚障害は新型コロナウイルス感染症に、
かなり特徴的な症候の1つで、
軽症の事例では嗅覚障害のみが症状、
というケースも認められ、
その症状は数か月以上持続することもあります。
その頻度は報告により様々ですが、
70%以上に認められるというものもあり、
少なくともかなり高頻度に認められることは間違いがありません。

ただ、オミクロン株が流行して以降は、
あまり感染した患者さんの話を聞いても、
嗅覚や味覚障害の訴えを聞くことはあまりありません。

これがたまたまのことであるのか、
それとも変異株毎の特徴であるのかについては、
個人的にはかなり気になっていたことでした。

今回のデータはブラジルにおいて、
最初の流行時期、ガンマ株の流行時期、デルタ株の流行時期、
オミクロン株の流行時期毎に期間を分けて、
嗅覚障害の有病率を比較しているものです。

その結果、
最初の流行時期には、
嗅覚障害の有病率は52.6%(95%CI:51.1から54.1)であったのに対して、
ガンマ株の流行時期には27.5%(95CI:24.3から30.8)と低く、
デルタ株の流行時期には42.1%(95%CI:37.4から47.0)と再び増加、
オミクロン株の流行時期には5.8%(95%CI:4.4から8.5)と、
極端に低くなっていました。

これは実際に新型コロナの患者さんの、
初期診療に当たっている体感と、
かなり一致している部分があるように思います。

ただ、今回のデータは変異株毎の事例数にかなりの差があり、
オミクロン株の対象事例は他と比較してかなり少ないので、
その信頼性は高いものとは言えません。

今後より詳細かつ大規模な検証が必要であると共に、
この変異株毎の症状の差が、
嗅覚障害のメカニズムやウイルスの性質の解明に、
繋がることを期待したいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
nice!(3)  コメント(0)