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「奇人たちの晩餐会」(2022年山田和也演出舞台版) [演劇]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は土曜日で、
午前午後とも石原が外来を担当する予定です。

世の中は騒然としていますが、
色々と疲弊しておりまして、
世間のことに目を配るような余裕はなく、
定常運転の記事になることご了承下さい。

土曜日は趣味の話題です。
今日はこちら。
奇人たちの晩餐会.jpg
フランスの喜劇で映画化もされ日本でもヒットした、
「奇人たちの晩餐会」が、
翻訳劇として上演されました。

主役は片岡愛之助さんと戸次重幸さんで、
演出は三谷幸喜さんとの仕事も多かった、
山田和也さんです。

これはまあ、明らかなキャスティングミスなのですが、
ビジュアルではなく演技力で勝負、
ということだったのだと思うのですね。

主役のバカというか「間抜け」を演じるのが、
愛之助さんなんですね。
勿論ちょっと抜けた役は出来る人ですし、
それなりにこなされてはいるのですが、
矢張りちょっと無理があったなあ、
という感想でした。

大間抜けの主人公が一種のトリックスターとなって、
もう1人のエリートの主人公が引っ掻き回される話ですが、
これはもう昔藤山寛美さんがやっていたような喜劇ですよね。
でも、日本ではもうコンプライアンス的に、
ああした「阿呆」の主人公を登場させることは、
かなり難しいんですよね。
どうしても「外見や行動や身分で差別している」
という感じが付きまとってしまうので、
「阿呆を素直に笑う」というような感覚が、
成立しなくなっているんですね。

それでその役を愛之助さんが、
スッキリと演じているのですが、
これでは「ちょっと不注意な人」というだけで、
「世界一の馬鹿」という表現とはほど遠い印象でした。

現行の役者さんであれば、
ムロツヨシさんなら一番近いイメージで、
舞台化出来たかな、という気がしますね。

愛之助さんがメインと分かっていて翻訳劇で、
どうしてこの作品を選んでしまったのかしらと、
その点は非常に疑問です。

上演時間は休憩を入れて2時間半。
映画とほぼ同じ進行で、
映画は1時間18分ですから、
如何にも長いなあ、という印象です。
もっとテンポを上げて、
せめて2時間弱に出来なかったのでしょうか?
これもかなり疑問です。

山田和也さんの演出は、
さすがに手馴れていて、
舞台の上部に、病室を配したセットも、
とても技巧的な仕上がりです。
ただ、三谷幸喜さんのシチュエーションコメディと同じようなタッチで、
この遥かにブラックなフランス産戯曲を処理した点に、
少し無理があったような気がしました。

そんな訳で、
色々な事情があったのだとは思いますが、
せっかくのフランス喜劇の傑作が、
あまりその真価を感じさせない舞台となってしまったのは、
かなり残念に感じました。
これなら無難にニール・サイモンでもやった方が余程良かったよね。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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