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サウナと運動の健康効果(フィンランドの臨床研究) [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

今週は色々な意味で、
気合を入れて未来を拓くための1週間にしたいと思っています。

何とかなるように、精一杯踏ん張ります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
サウナの健康効果.jpg
American Journal of Physiology誌に、
2022年7月4日掲載された、
運動とサウナを組み合わせた健康効果についての論文です。

入浴は世界中において、
古くから好まれている生活習慣で、
皮膚などの清潔を保つと共に、
その温熱効果により気分をリラックスし、
血流を一時的にせよ高めるという効果があります。

より長期的に入浴習慣に健康面での効果があるかどうか、
と言う点については、
現時点であまり明確なことが分かっていません。

一部には体温を上昇させることにより、
ヒートショックプロテインを増やし、
免疫を活性化させる、
というような知見もありますが、
それは仮説の域を出ないように思います。

入浴法により健康効果に違いがあるのではないか、
という見解も以前からあります。

日本で行われているような、
首まで熱い湯に浸かる全身浴は、
血圧や脈拍に与える影響が大きく、
入浴中の突然死に繋がるリスクが高い、
という側面があるからです。

フィンランドはサウナ発症の地で、
比較的低温のサウナが一般的な入浴法として普及しています。

サウナというのは湯船に浸からないために、
純粋の温熱効果のみが得られるので、
全身浴と比較してより健康に利する可能性があるのです。

実際これまでに大規模なフィンランドの観察研究において、
サウナの心血管疾患予防効果や肺炎予防効果などが認められ、
論文化されています。

今回の研究は矢張りフィンランドにおいて、
年齢が30から64歳で運動は1週間に30分未満しかしておらず、
高コレステロールやコレステロール上昇など、
1つ以上の心血管疾患リスクのある一般住民47名を、
くじ引きで3つの群に分けると、
第1群は通常の生活を続け、
第2群は週に3回の1時間の運動を指導され、
第3群は運動後に15分のサウナ浴を併用して、
8週間持続した前後で、
体組成や心肺機能、血圧やコレステロールなどのチェックを施行します。

その結果、
運動のみの群でも心肺機能は向上し、
体脂肪は減少しましたが、
血圧やコレステロールの低下は確認されませんでした。
その一方で運動とサウナの併用群では、
心肺機能の向上はより大きく、
血圧とコレステロールは低下を示していました。

これはまだ短期間の少人数での検証ですから、
これをもってサウナと運動の併用が動脈硬化の予防に有効、
とまでは言えませんが、
通常の入浴では得られないような健康効果が、
運動とサウナ浴との併用で認められたことは非常に興味深く、
今後より詳細な検証を期待したいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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