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新型コロナウイルス感染症の罹りやすさと年齢(メタ解析) [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は金曜日でクリニックは休診ですが、
老人ホームの診療などには廻る予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
コロナウイルスの子供と大人の感染しやすさ.jpg
JAMA Pediatrics誌に2020年9月25日ウェブ掲載された、
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の感染しやすさと、
年齢との関連を検証したメタ解析の論文です。

この問題は以前から何度も議論されながら、
未だ解決が見られていないものです。

新型コロナウイルス感染症が小児の感染事例が少なく、
あっても殆どが軽症であるというのは、
この病気の感染拡大の初期から、
広く知られている知見です。

ただ、その後家族内感染の事例などでは、
軽症ではあっても子供の感染は意外に多く、
遺伝子検査からの推定では、
小児のウイルス量は大人よりむしろ多い、
という報告などもあって、
小児の感染事例で軽症の多いこと自体は事実としても、
小児がこの病気に罹りにくいのかどうか、
という点と、
周辺に感染する力が大人と比べて弱いのかどうか、
という点については、
明確な結論が得られていません。

今回の研究は、
これまでの臨床データをまとめて解析した、
システマティックレビューとメタ解析です。

これまでの32の臨床研究の、
20歳未満の41640名と、
20歳以上の268945名の感染者を比較検証したところ、
20歳以上と比較して20歳未満の感染リスクは、
44%(95%CI:0.37から0.85)有意に低下していました。
これを10から14歳未満の小児期と、
10から12歳以上の思春期に分けて解析すると、
小児の感染リスクは大人と比較して、
その感染リスクは48%(95%CI: 0.33から0.82)、
より低い一方で、
思春期のみの解析では有意な低下は認められませんでした。

そして、
小児の感染者から大人への感染力が、
どの程度であるのか、という点については、
データはばらつきが大きく、
現時点では明確な傾向が認められませんでした。

このように、
現状10から14歳未満の小児は、
新型コロナウイルス感染症に、
大人より罹り難いことは間違いがなさそうですが、
決して罹らないということではありません。
そして、小児の感染者から周辺への感染リスクについては、
現状は明確なことが言えるようなデータの蓄積はないようです。

この問題はまだまだ検証が必要であるようです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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