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ウコン抽出物の膝関節症への効果(2020年介入試験) [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
ウコンの関節炎への効果.jpg
Annals of Internal Medicine誌に2020年9月15日ウェブ掲載された、
ウコン抽出物による膝の痛みの緩和効果についての論文です。

ウコン(ターメリック)はショウガの仲間の多年草で、
その根が香辛料として、
カレーなどに広く使用されています。
その黄色い色素の成分であるポリフェノールのクルクミンは、
抗炎症作用や抗酸化作用などが報告されています。

このウコンの持つ抗炎症作用が、
変形性関節症に伴う膝の痛みに有効であるとする報告が、
これまでに幾つかあります。

2014年にJournal of Orthopaedic Science誌に掲載された、
日本の研究グループの報告では、
ウコンの成分であるクルクミンの吸収を高めた製剤を用いて、
変形性膝関節症の患者に8週間用いたところ、
膝の痛みは偽薬と比較して有意に改善していました。

今回の研究はオーストラリアの単独施設のもので、
滑膜炎を伴う変形性膝関節炎の患者70名を、
患者にも主治医にも分からないようにくじ引きで2つの群に分けると、
一方はウコンの抽出物を使用し、
もう一方は偽薬を使用して、
12週間の経過観察を行っています。

その結果、膝の痛みには有意な改善が認められましたが、
MRIで確認された滑膜炎の所見には、
明確な差は認められませんでした。

このように今回のほぼ初めてのアジア以外の検証において、
ウコンには膝関節の痛みに対する有効性が認められました。

通常使用される消炎鎮痛剤には、
連用で腎障害や消化管障害などのリスクがありますから、
そうした副作用のほぼないウコンの使用は、
今後有用な選択肢となるかも知れません。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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