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新型コロナウイルス感染症後の心血管疾患リスク増加 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
新型コロナの心血管系後遺症.jpg
Nature Medicine誌に、
2022年2月7日ウェブ掲載された、
新型コロナウイルス感染症罹患後の、
心血管疾患リスクについての論文です。

新型コロナウイルス感染症は、
全身の血管に影響を与え、
心筋梗塞などの動脈硬化性疾患のリスクを増加させる、
というような報告は以前からあります。

ただ、その殆どは肺炎などで入院した事例を対象としていて、
軽症の事例を含む、全ての有症状の新型コロナウイルス感染症の罹患後に、
そうしたリスクがあるかどうかについては、
あまり明確なことが分かっていません。

今回の検証はアメリカの退役軍人を対象とした、
健康保険データを活用したもので、
トータル153760名の新型コロナウイルス感染症患者で、
診断後30日以上の生存事例について、
発症1年後までの心血管疾患発症リスクを、
非感染のコントロールと比較しています。

その結果、
発症後1年以内の脳卒中のリスクが1.52倍(95%CI:1.43から1.62)、
心房細動のリスクが1.71倍(95%CI:1.64から1.79)、
急性心筋梗塞のリスクが1.63倍(95%CI:1.51から1.75)、
心不全のリスクが1.72倍(95%CI:1.65から1.80)など、
対象とされた心血管疾患の多くで、
非感染と比べて感染者では、
発症リスクの有意な増加が確認されました。
このリスク増加は入院を要さない患者でも認められましたが、
患者の重症度が高いほど、
そのリスクも高い傾向が認められました。

このように、
新型コロナウイルス感染症の罹患後には、
比較的軽症であっても、
心血管疾患のリスク増加が確認されていて、
そのメカニズムや予防策について、
今後早急に検証される必要がありそうです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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