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市中肺炎患者におけるインフルエンザ検査の意義 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は金曜日でクリニックは休診ですが、
老人ホームの診療などには廻る予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
インフルエンザの検査と肺炎の予後.jpg
Chest誌に2022年2月5日ウェブ掲載された、
インフルエンザの検査と肺炎の予後についての論文です。

新型コロナウイルス感染症が流行しているため、
やや蔭が薄くなってしまった感じはありますが、
通常の時期の2月と言えば、
インフルエンザの流行がピークの時期です。

今年はただ、
検査をしても殆どインフルエンザが陽性になることがありません。
これは去年と同じ傾向で、
新型コロナウイルスとの一種の干渉がある可能性もありますし、
マスクや手洗いなどの感染対策が、
インフルエンザに対してより有効に機能しているのかも知れません。

ただ、それでもインフルエンザが、
なくなってしまった訳ではありませんから、
今の時期気をつけるべき感染症であることは間違いがありません。

インフルエンザの検査を、
どのくらいするべきかについては色々な議論があります。

検査が必要であるかどうかは、
その検査をしない場合に比べて、
検査をした方が患者の予後に、
良い影響があるかどうかで決まります。

今回の研究はアメリカの179カ所の病院において、
市中肺炎の診断で入院した166268名の患者を対象として、
インフルエンザ検査の有無と予後との関連を検証しているものです。

その結果、
全体の23.3%に当たる38703名がインフルエンザの検査を施行されていて、
そのうちの11.5%が陽性と判定されています。
この場合の検査は迅速の抗原検査や遺伝子検査などが含まれています。

インフルエンザの検査をして陽性が確認された肺炎患者が、
入院当日にオセルタミビル(タミフル)を使用した場合、
使用しないか投与が遅れた場合に比較して、
14日の院内死亡リスクが25%(95%CI:0.59から0.96)有意に低下し、
集中治療室への入室などの他の重症化リスクも低下していました。
医療コストも減少し、入院期間も短縮、
不必要な抗菌剤の使用も抑制されていました。

このように、
肺炎の入院患者において、
迅速にインフルエンザの検査を施行し、
早期のタミフル使用を行なった場合、
患者の予後は改善し、
不必要な治療や医療コストも抑制されることが確認されました。

闇雲に多くの検査を行なうことが適切ではありませんが、
入院を要する肺炎の事例においては、
迅速に検査を施行して迅速に抗ウイルス剤を使用することに、
多くのメリットがあることは間違いがないようです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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