SSブログ

新型コロナワクチン3回目接種のオミクロンとデルタ株への有効性(アメリカの疫学データ) [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
コロナワクチンブースター接種の効果.jpg
JAMA誌に2022年1月21日ウェブ掲載された、
新型コロナウイルスワクチンの3回目接種の、
オミクロン株とデルタ株への有効性を比較した論文です。

オミクロン株の現在の流行で顕著なことは、
ワクチンの2回接種後にも再感染が普通に見られると共に、
昨年デルタ株に感染している人も、
普通にオミクロン株に再感染しているという事実です。

そこで期待されるのは、
新型コロナワクチン3回目接種の効果ですが、
実際にはクリニックでも既に、
3回目接種後の感染事例を2例経験しています。
いずれも症状は軽微ですから、
ワクチンのために重症化が抑制された、
というように言えなくもないのですが、
もともとオミクロン株の感染は、
軽症の方が殆どなので、
重症化予防ということを、
臨床で実感するのは難しいのが実際です。

実際に3回目接種後の有効性はどの程度のものであり、
デルタ株とオミクロン株に対する有効性には差があるのでしょうか?

今回のデータは、
アメリカの薬局で無料のドライブスルー形式で行われた、
RT-PCR検査によるもので、
その聞き取りからワクチン接種の有無を確認し、
ワクチンの有効性を推測しているものです。
2021年12月10日から2022年1月1日までの検査事例が対象となっています。

トータルで23391例の検査陽性事例が対象となり、
そのうち13098例がオミクロン株で10293例がデルタ株の事例です。
これを46764件の検査陰性コントロールと比較しています。
ワクチンはファイザー・ビオンテック社もしくはモデルナ社の、
mRNAワクチンのみが対象となっています。

その結果、
ワクチン未接種と比較した、
ワクチン3回目接種(接種後2週間以降)の有効性(有症状感染予防効果)は、
オミクロン株で67.3%(95%CI:65.0から69.4)、
デルタ株で93.5%(95%CI:92.9から94.1)と算出されました。
また、ワクチン2回接種と比較した3回目接種の有効性は、
オミクロン株で66.3%(95%CI:64.3から68.1)、
デルタ株で84.5%(95%CI:83.1から85.7)と算出されました。
2種のmRNAワクチンとも、
2回目接種6か月以降の有効性は低下していましたが、
デルタ株への有効性のみについて見ると、
接種後11か月までは認められていました。

このように、
ワクチン3回目接種の有効性は、
デルタ株については高いものの、
オミクロン株においては相対的には低くなっていて、
今後オミクロン株に特化したワクチンにシフトするべきか、
その感染力は抜群に高いが重症化しにくいという性質を考えると、
難しい選択を迫られることになりそうです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
nice!(4)  コメント(0)