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「孤独」の有病率(世界113カ国のメタ解析) [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は土曜日で午前午後とも石原が外来を担当する予定です。

昨日まではバタバタでしばらく更新出来ませんでした。
昨日の夜に一度記事を投稿したのですが、
前の記事を間違えて投稿してしまいました。

もう何か頭が解体しそうな感じです。
何もないとですね、強烈な睡魔で、
何処かに連れて行かれそうな気分になるのです。
今日からは平常に戻せればとは思っています。

今日は土曜日ですが少し間が開いたので医療の話題です。

今日はこちら。
孤独のメタ解析.jpg
British Medical Journal誌に、
2022年2月9日ウェブ掲載された、
孤独を病気としてとらえた論文です。

孤独というのは、
それが慢性的で重い状態である場合には、
公衆衛生上の大きなリスクになる、
という捉え方を最近はされるようになっています。

ここで言う「孤独(loneliness)というのは、
人が望むような他者との関わりを持つことが出来ず、
そのために強いネガティブな感情を持つことです。

対になるような言葉に「孤立(social isolation)」があり、
こちらは実際に他者と関われないような環境があることです。

たとえばコロナ禍で大学生が友達と交流を持てない、
というのが孤立状態で、
それが続くことにより、
その孤立を強いストレスと感じる、
孤独が生じるのです。

孤独はストレスホルモンを増加させ、
身体の緊張状態を高めます。
疫学的研究では、
多くの心血管疾患のリスクとも関連があると報告されています。

2015年に発表されたメタ解析によると、
慢性的な孤独症状は、
総死亡のリスクを26%増加させ、
これは肥満や運動不足と同じくらいの影響を、
健康に与えると推計されています。

今回の研究はこの病気としての「孤独」の有病率を、
世界113か国の疫学データをもとに解析した、
メタ解析の研究です。

世界113か国の57の疫学研究のデータをまとめて解析したところ、
思春期の孤独の有病率は、
南東アジアが最も低く9.2%(95%CI:6.8から12.4)、
東地中海沿岸地域が最も高く、
14.4%(95%CI:12.2から17.1)に上っていました。

地域ごとの解析データがあるのはヨーロッパのみで、
それによると年齢を問わず、
孤独の有病率が最も低いのは北欧諸国で、
高いのが東欧諸国という傾向が見られました。
ヨーロッパ以外に地域においては、
データのばらつきも大きく、
何を病気としての孤独とするかの統一もないため、
同様の解析は施行することは困難でした。

このように、
仮に孤独を病気として取り扱うとしても、
まだ科学的に使用可能なデータは限られており、
今後何を孤独として定義するのかの定義を含めて、
この問題はより厳密に検証される必要がありそうです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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