睡眠を延ばすことによる肥満改善効果 [医療のトピック]
こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。
それでは今日の話題です。
今日はこちら。
JAMA Internal Medicine誌に、
2022年2月7日ウェブ掲載された、
睡眠を延長することによる肥満改善効果についての論文です。
肥満は多くの生活習慣病の原因となり、
肥満の改善は糖尿病や肝臓病など、
多くの病気の予防になることは、
多くの精度の高い臨床データによって、
実証されている事実です。
ただ、たとえば国際的には過体重と呼ばれる、
BMIが25.0から29.9の軽度肥満の状態において、
どのようなダイエット(体重減少法)が有効であるのか、
というような点については、
まだ明確な指針がないのが実際です。
ダイエットのための生活習慣と言うと、
食事と運動が重要であるという点については、
科学的にも一般的にも見解は一致しています。
しかし、それ以外に、
肥満の改善や予防に関連を持ちながら、
あまり触れられることのない生活習慣があります。
それが睡眠時間です。
不眠や睡眠時間が短いことが、
過体重や肥満のリスクとなることは、
多くの疫学データにより確認されています。
2019年のメタ解析の検証では、
睡眠時間が1時間短くなると、
肥満のリスクが9%増加する、
という結果が報告されています。
それでは、睡眠時間が短い過体重や肥満の人に、
睡眠時間を長くするような介入を行うと、
それは肥満の改善や予防につながるのでしょうか?
その点についての精度の高いデータは、
これまでにあまり存在していませんでした。
そこで今回の研究では、
アメリカの単独の専門施設において、
BMIが25.0から29.9という過体重もしくは軽度肥満の状態で、
年齢が21から40歳、
2週間の睡眠時間調査で平均の睡眠時間が6.5時間未満の80名に、
エネルギー消費量や基礎代謝量などの測定を施行。
8.5時間を目標として、
睡眠時間を長くするための指導を行い、
それを2週間継続した後に、
エネルギー消費量などの再測定を行って、
睡眠による代謝への効果を検証しています。
その結果、
睡眠時間を延ばすための指導により、
睡眠時間は平均で1日1.2時間延長。
それによりエネルギー摂取量は1日当たり270キロカロリー減少しました。
短期間であるのでそれほど体重自体には変化はありませんでしたが、
この代謝の変化がそのまま持続すると仮定すると、
3年間で体重が12キロ減少するダイエット効果が得られる、
という推計が認められました。
このように、
単純に睡眠時間が長くなるだけで、
代謝のバランスが改善して減量効果が得られる、
という今回の結果は非常に興味深く、
今後「睡眠ダイエット」が、
科学的にも推奨されるような流れになるかも知れません。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。
それでは今日の話題です。
今日はこちら。
JAMA Internal Medicine誌に、
2022年2月7日ウェブ掲載された、
睡眠を延長することによる肥満改善効果についての論文です。
肥満は多くの生活習慣病の原因となり、
肥満の改善は糖尿病や肝臓病など、
多くの病気の予防になることは、
多くの精度の高い臨床データによって、
実証されている事実です。
ただ、たとえば国際的には過体重と呼ばれる、
BMIが25.0から29.9の軽度肥満の状態において、
どのようなダイエット(体重減少法)が有効であるのか、
というような点については、
まだ明確な指針がないのが実際です。
ダイエットのための生活習慣と言うと、
食事と運動が重要であるという点については、
科学的にも一般的にも見解は一致しています。
しかし、それ以外に、
肥満の改善や予防に関連を持ちながら、
あまり触れられることのない生活習慣があります。
それが睡眠時間です。
不眠や睡眠時間が短いことが、
過体重や肥満のリスクとなることは、
多くの疫学データにより確認されています。
2019年のメタ解析の検証では、
睡眠時間が1時間短くなると、
肥満のリスクが9%増加する、
という結果が報告されています。
それでは、睡眠時間が短い過体重や肥満の人に、
睡眠時間を長くするような介入を行うと、
それは肥満の改善や予防につながるのでしょうか?
その点についての精度の高いデータは、
これまでにあまり存在していませんでした。
そこで今回の研究では、
アメリカの単独の専門施設において、
BMIが25.0から29.9という過体重もしくは軽度肥満の状態で、
年齢が21から40歳、
2週間の睡眠時間調査で平均の睡眠時間が6.5時間未満の80名に、
エネルギー消費量や基礎代謝量などの測定を施行。
8.5時間を目標として、
睡眠時間を長くするための指導を行い、
それを2週間継続した後に、
エネルギー消費量などの再測定を行って、
睡眠による代謝への効果を検証しています。
その結果、
睡眠時間を延ばすための指導により、
睡眠時間は平均で1日1.2時間延長。
それによりエネルギー摂取量は1日当たり270キロカロリー減少しました。
短期間であるのでそれほど体重自体には変化はありませんでしたが、
この代謝の変化がそのまま持続すると仮定すると、
3年間で体重が12キロ減少するダイエット効果が得られる、
という推計が認められました。
このように、
単純に睡眠時間が長くなるだけで、
代謝のバランスが改善して減量効果が得られる、
という今回の結果は非常に興味深く、
今後「睡眠ダイエット」が、
科学的にも推奨されるような流れになるかも知れません。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。