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長楽寺秘仏准胝観音 [仏像]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日までクリニックは連休の休診です。
明日は通常通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
長楽寺 秘仏准てい観音看板.jpg
京都の未公開文化財特別公開の、
今年春の目玉の1つとして、
長楽寺の御本尊で、
改元の時にしか開扉されないという、
かなり特殊な秘仏である、
准胝観音菩薩がめでたく御開帳されました。

特に文化財指定などは受けておられない仏様なので、
こうした場合は、
文化財としての仏像マニアとしては、
あまり感銘を受けるようなものではないのだろうなあ、
とは思いながらも、
滅多にない機会であるので、
お参りをして来ました。

この仏様は、
最澄が唐に行く際に嵐に遭い、
危うく波の呑まれかけた時に、
2体の龍にまたがるこの観音様が忽然と現れて、
最澄を救ったことがきっかけとなり、
最澄自らが彫った仏像である、
という説明になっています。

ただ、実際に拝見したそのお姿は、
明らかにかなり時代の下るもので、
光背と台座はほぼ近世のものと思いますし、
仏様自体も古く見積もって室町時代は遡らない、
と思われます。
一緒に祀られている御前立の仏様の方が、
より古いのではないか、
という印象です。

その厨子は江戸時代初期の細工のほどこされた豪華なもので、
おそらくはその厨子と一緒に、
御本尊自体も新調されたのではないかと推測されます。

ただ、これは別に特殊なことではなくて、
仏像は所詮は偶像に過ぎないのですから、
その魂はその場所にあるとして、
新しい形を作った、
ということなのだと思います。

従って、その文化財的な価値のみを見れば、
江戸時代の厨子の方が、
優れていると言って良いように思います。

御本尊の祀られたお堂は、
そう古くはないもののなかなか風情のある建築で、
混み合っている割には、
じっくりと拝観も出来、
鑑賞もすることが出来ました。

御朱印もこの時期だけのものなので、
まあ大変な人気で、
最初に番号札を渡されて朱印帖を預け、
その間にお参りをするという段取りの良いもので、
お坊さんが6人がかりで書かれていましたが、
それでも1時間くらいはお待ちしました。

今の御朱印人気にはまあビックリで、
1時間待つのはざらで断念することもしばしばありました。
ただ、長楽寺はお坊さんだけで6人で書かれていて、
非常に良心的で感心しました。

そんな訳で美術品としての仏像を鑑賞するという意味合いでは、
あまり感銘はありませんでしたが、
素朴な信仰の場所としてはなかなか素晴らしく、
無理を押して拝観する価値はあったと思えたのです。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
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