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イギリスの砂糖減量政策の健康効果 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は水曜日で診療は午前中で終わり、
午後は事務作業などに充てる予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
イギリスの砂糖減量プログラムの効果.jpg
2019年のBritish Medical Journal誌に掲載された、
イギリスの砂糖減量政策の健康効果を検証した論文です。

イギリスはヨーロッパの中では肥満の多い国として知られています。

特に小児の肥満が深刻で、
4から5歳の年齢層の10%、
11から12歳の年齢層の20%が肥満児である、
というデータがあります。

この事態への対策として、
2016年にイギリス政府は、
2020年までに砂糖を多く含む食品の砂糖の含有量を、
2割削減するという方針を打ち出しました。

今回の検証はこの政策が着実に実行に移された場合に、
どの程度の健康上のメリットが得られるかを計算したものです。

それによると、
現状流通しているお菓子やシリアルジュースなどに含まれる、
砂糖の量が20%削減されると、
4歳から10歳の年齢層においては、
1日の摂取カロリーは平均で25キロカロリー減少し、
11から18歳においても25キロカロリー、
大人においては19キロカロリーが削減されます。

これにより、
4から10歳における肥満の比率は5.5%、
11から18歳における肥満の比率は2.2%、
大人でも5.5%減少します。

そして結果として10年間で、
154550人の糖尿病と、
3500人の心血管疾患、5800人の大腸癌の発症が、
予防される計算となるのです。

これは敢くまで推測に過ぎませんが、
報道でも取り上げられた「砂糖税」のようなものを含めて、
イギリスの砂糖減量政策は本気度の高いもので、
今後の進捗と実際の効果が、
報告されることを待ちたいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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