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コーヒーと不妊治療の成功率との関係について [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は金曜日でクリニックは休診ですが、
老人ホームの診療などには出掛ける予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
コーヒーと不妊治療.jpg
2019年のFertility and Sterility誌に掲載された、
コーヒーと不妊治療の成功率との関係という、
ユニークなテーマを検証した論文です。

不妊治療の成功率が環境要因に左右される部分がある、
というのは比較的知られていることで、
ストレスとの関連なども指摘をされることがあります。

ただ、明確にどのような生活習慣が、
妊娠の成功率を上げるのか、
というような点については、
まだあまり明確なことが分かってはいないと思います。

コーヒーのようなカフェインを多く含む飲料は、
妊娠中にはあまり良い影響をもたらさないと考えられていますし、
カフェインの多量摂取は女性ホルモン濃度を下げ、
生理周期を短くするというような報告もあるので、
これまでの常識としては、
不妊治療中もあまり摂ることは望ましくない、
というのが一般的でした。

ただ、最近になってコーヒーに生命予後を改善し、
抗酸化作用や腎臓の血流増加作用などにより、
心血管疾患の予防効果もあることが、
次々と明らかになり、
それであればむしろコーヒーを適度に摂取した方が、
不妊治療にも良い影響を与えるのではないか、
という考え方も否定出来ないようになりました。

そこで今回の研究では、
デンマークの単独の専門施設において、
不妊治療を行ったトータル1708名の女性を対象として、
コーヒーの摂取量と治療の成功率との関連を比較検証しています。

内訳は人工授精(IUI)を施行した1511名と、
体外受精を(IVF)もしくは顕微授精(ICSI)を施行した2870名、
凍結胚移植周期を施行した1355名です。
(個人が複数の治療をしています)

その結果、
人口授精施行群においては、
コーヒーを殆ど飲まない場合と比較して、
コーヒーを1日1から5杯飲む習慣のある人は、
妊娠の成功率が1.49倍(95%CI: 1.05から2.11)、
出産の成功率が1.53倍(95%CI: 1.06から2.21)、
それぞれ有意に増加していました。
それ以外のより高度な不妊治療については、
コーヒーの摂取量との有意な関連は認められませんでした。

この結果をもって、
コーヒーが不妊治療に有効とは言えませんが、
1日5杯程度までの摂取については、
少なくとも明確に悪い影響を与える、
という可能性は否定的で、
適度な摂取は問題ないと考えても良いようです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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