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形成外科的に最も魅力的な女性の唇を科学する [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は水曜日なので診療は午前中で終わり、
午後は別件の仕事で都内を廻る予定です。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
理想の唇を科学する.jpg
今年のJAMA Facial Plastic Surgery誌に掲載された、
理想の女性の唇の形を検証する、
というちょっと科学誌としてはユニークな感じのする論文です。

これは実際にどのような唇の形が、
最も理想的な形状であるかを、
複数の画像への評価から解析したもので、
インターネットを利用して、
多くの意見を集積したもののようですが、
その集計などの詳細については、
本文を読んでも良く分かりません。

引用文献があって、
詳細はそちらにと書いてあるのですが、
それを読むのにも結構お金が掛かるので、
馬鹿馬鹿しくなってあきらめました。
ただ、男性のみにアンケートする、
というようなものではないようです。

何故こうしたミスコンテストまがいの調査をするのかと言うと、
病気で顔面が変形した方や失われた方の形成治療をするのに、
その基本となる理想の形状として、
必要になる、ということのようです。

勿論、それだけの理由ではなく、
興味を惹くという部分もおそらくはあるのだと思います。

また欧米的な考えの基礎には、
物には理想の形があるという、
プラトンから連なるイデア論や、
神様が理想的な形状で人間を作った、
という宗教的な考えもあるのだと思います。

唇の形状の複数の女性の写真でCGにより修整を加え、
様々なパターンを作って比較をしています。
具体的には唇が顔全体に占める面積と、
その上下のバランスの理想形を検証しています。

こちらをご覧下さい。
唇の大きさ.jpg
これが元画像の唇の大きさを複数パータンで変えて、
そのうちのどれが最も魅力的で理想的な形状であるかを、
検証してもらうためのテスト画像です。

もう1つご覧下さい。
唇の上下.jpg
こちらは唇の上下のバランスを変えて、
同様の検証を行なっています。

検証の結果としては、
テスト画像そのものの唇の占める面積を、
53.5%大きくするのが最も理想的な形状で、
上の唇と下の唇の幅の比率は1対2が最も理想的で、
逆に上が大きい2対1が最も評価が低いという結果になっていました。
実際の唇の占める面積は、
顔面の下3分の1の9.6%が最も理想的である、
という結果になりました。

それがどうした、
という気がしないでもありませんが、
形成外科の分野では、
こうした基礎データが手術の方向性を決める上で、
重要な情報の1つになることは、
間違いがないのだと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

下記書籍発売中です。
よろしくお願いします。



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