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「BAD LANDS バッド・ランズ」 [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は日曜日でクリニックは休診です。

休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
バット・ランズ.jpg
原田眞人監督の新作映画が今公開されています。

これは一応黒川博行さんの「勁草」という作品が原作ですが、
オレオレ詐欺に関わる物語の骨格の一部は、
確かに原作が使われてはいるものの、
キャラ設定などは大幅に変えられていて、
原作のリアルな雰囲気は皆無となり、
それに代わって原田眞人ワールドが、
大々的に展開されています。

一応作者のコメントもあるのですが、
全く別物と言って良い映画版に、
社交辞令ではなく、
実際にどう思ったのかは興味のあるところです。
おそらく、あまり関心などないのかも知れません。

原田さんの最近の作品、
「検察側の罪人」、「ヘルドックス」、
そして今回の「バッド・ランズ」は、
どれも原作があるのですが、
いずれも原作の世界とは全く別の、
「原田眞人ワールド」に改変されていて、
「検察側の罪人」を観た時には、
何でこんな変梃りんな演出をするのだろう、
と理解不能であったのですが、
要するに原作はただのたたき台に過ぎず、
原田さんが独自に作り上げた、
一種の架空の日本という舞台で、
色々なエピソードが展開されるシリーズ物として、
理解するべき作品であると今回理解しました。

言ってみれば、
バットマンシリーズのような世界観で、
バットマンではニューヨークのようで、
現実のニューヨークとはちょっと違う、
より暴力的で荒廃したゴッサムシティで、
物語が展開されますが、
最近の原田さんの一連の映画も、
現実の日本とはちょっと違う、
より腐敗してより暴力的になった架空の日本で、
展開される物語なのです。

そこでは「検察側の罪人」に描かれたような、
正義のために殺人を犯す検察官がいて、
「ヘルドックス」に描かれたような犯罪組織が暗躍し、
その底辺では今回の映画に描かれたような、
貧困に喘ぐ悪人の騙し合いの世界があるのです。

今回の映画はより縦横無尽に、
その原田ワールドが展開されていて、
主人公の安藤サクラさんは、
マーベルのダークヒロインのように、
2人の自分を凌辱した男に復讐することで、
次のステージに進むという物語を展開していますし、
家族でも骨肉の争いを展開します。

そのアメコミめいた世界観は、
黒川さんのリアルな犯罪小説の世界とは、
全く別物と言って良いのです。

この映画が好きかどうかは、
原田ワールドを受け入れられるかどうかで、
違ってくるのかな、という気がします。

個人的には、
スタイリッシュでグロテスクな世界観には魅力もあるのですが、
暴力的な企業経営者のSMめいた描写や、
時々正気に戻る宇崎竜童さんの極道など、
あまりに絵空事でリアリティがなく、
ゲンナリしてしまったことも事実でした。
勿論そんな人物は原作には全く登場はしていないのです。

そんな訳で、
最近の原田さんの映画が好きな方には、
今回も濃厚でお勧めの映画ですが、
それ以外の方には、
ガッカリする可能性もあることを、
事前にお伝えしておきたいと思います。

原田ワールド全開です。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
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