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糖質の種類と体重変化 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は金曜日でクリニックは休診ですが、
終日レセプト作業などの予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
糖質の種類と太り易さ.jpg
British Medical Journal誌に、
2023年9月27日付で掲載された、
摂取する糖質の種類と量が、
体重の増減に与える影響についての論文です。

ご飯やパンなどの主食を沢山食べると太り易い、
というのは、
一般にも良く知られている知見ですし、
科学的にもほぼ実証されている事実です。

ただ、研究データの多くは、1つの食事療法を、
数か月からせいぜい1年くらい観察したものですから、
長期の経過は分かりませんし、
個別の糖質の違いが経過に与える影響も不明です。

糖質は身体の基本的なエネルギー源ですから、
必要な栄養素であることは間違いがありません。
ただ、昔と比べて糖質をエネルギーとして活用するような活動を、
人間はあまりしなくなってきているので、
糖質の必要量も少なくなってきていることもまた事実です。

そこでどのように糖質を減らすのかが問題となるのですが、
糖質と一口に言ってもその種類は様々です。
たとえばでんぷんは植物由来の糖質で、
芋類などに多く含まれていますが、
芋類は食物繊維も豊富なので、
体重増加は起こしにくいという意見もあります。

実際にはどうなのでしょうか?

今回の研究はアメリカにおいて、
医療従事者を対象として大規模に施行された、
有名な疫学研究のデータを活用して、
4年毎に測定している体重が、
摂取している糖質の種類や量で、
どのような影響を受けるのかを、
24年という長期の経過観察において検証しているものです。

対象は登録の時点で65歳以下で糖尿病などの持病のない、
136432名の医療従事者です。

その結果、
対象者の体重増加は4年毎に平均で1.5キロ認められ、
24年では平均8.8キロ増加していました。

ここで血糖を上昇させるような糖質の摂取増加は、
体重の増加と相関していました。
たとえば、でんぷんの摂取が1日当たり100グラム増加すると、
4年で1.5キロの体重増加に結び付き、
砂糖などの甘味料が1日当たり100グラム増加すると、
4年で0.9キロの体重増加と結びついていました。
一方で食物繊維の摂取量が1日当たり10グラム増加すると、
4年で0.8キロの体重減少と結びついていました。

個別の食品との関連でみると、
白いパンなどの精製穀物が1日当たり100グラム増加すると、
4年で0.8キロの体重増加に結び付き、
芋類などのでんぷん質の野菜が1日当たり100グラム増加すると、
4年で2.6キロの体重増加に結び付いていました。

一方で全粒穀物や果物、非でんぷん質の野菜は、
その摂取増加が体重の減少に結び付いていて、
精製穀物やでんぷん質の野菜、砂糖を含む飲み物などを、
全粒穀物や果物、非でんぷん質の野菜に置き換えることによって、
体重減少に有効であることも確認されました。

このように今回の長期の大規模な疫学データの解析において、
糖質の中でも白いパンやご飯などの精製穀物と、
ジュースなどの甘味料を含む飲み物やお菓子、
でんぷんを多く含むサツマイモなどの芋類の摂り過ぎが、
体重増加に結び付き、
それを緑黄色野菜や果物、
玄米や胚芽パンなどに置き換えることにより、
体重減少効果のあることが確認されました。

芋類の体重増加効果が高いのが少し意外ですが、
それ以外はこれまでの常識に合致した知見です。

糖質は極端に制限するのではなく、
その組成を健康に良いものに変えてゆくことが、
ダイエットを含む食事の改善において重要なことであるようです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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