「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」 [映画]
こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は土曜日で午前中は石田医師が、
午後2時以降は石原が外来を担当する予定です。
土曜日は趣味の話題です。
今日はこちら。
今年のアカデミー賞の作品賞など7部門を受賞したヒット作ですが、
並行宇宙を目まぐるしく行き来しながら、
中国からアメリカに移民した一家の、
家族の危機とそこからの再生が描かれます。
これはかなり好みの分かれる映画で、
個人的には全く駄目でした。
四畳半から宇宙規模の冒険が始まるというのは、
松本零士さんが開拓した世界だと思いますが、
この映画は基本的にはそのパターンで、
ミニマルな世界が宇宙規模のロマンに拡大するのが魅力の筈ですが、
ビジュアルに殆ど膨らみがなくて、
何か最初から最後まで貧相なんですよね。
如何にもアメリカ的な、
しょうもないギャグとパロディが山盛りで、
「ケンタッキー・フライド・ムービー」や「フレッシュゴードン」と、
ほぼ変わらないようなセンスです。
まあ、ほぼコントなのですが、
とても恥ずかしいことや無意味なことをすると、
他の世界にジャンプ出来るとか、
手の指がソーセージになっている世界があるとか、
勿論意図的にチープにしているのは分かるのですが、
面白さを微塵も感じないのが絶望的です。
映像センスは徹底して貧相なのですが、
内容はその割にちょっと哲学的なんですね。
ストーリーラインは家族崩壊の危機があって、
個々の対立やトラウマが幻想世界を利用して描かれて、
最終的には家族が再生してめでたしめでたしになります。
これ、ベルイマンの「野いちご」と一緒ですよね。
でも、出鱈目をやっている筈なのに、
こんなにお話が予定調和でいいのかしら?
これはもう個人的な趣味の問題ですが、
あまり良いとは思えませんでした。
ただ、アカデミー賞を取ったのは、
そうした穏当で哲学的なスパイスのある物語のせいだと思いますし、
かつてハリウッドで活躍したアジア系の俳優を集結させて、
それを1つの家族として主人公にするのですから、
これも今何が評価されるのかのツボを、
しっかり押さえているのだと思います。
そういう計算されたあざとさのようなものにも、
何かモヤモヤする物を感じてしまいました。
一番はビジュアルに、
もっと映画ならではの美しさや、
スケールの大きさが欲しいんですよね。
それが全くないというのは、
個人的には映画の魅力がないというのと、
僕にとっては同義なのです。
そんな訳で延々と続く同じような場面を、
ぼんやりと観ている間に終わってしまったような映画ですが、
こうした映画に新しさや魅力を感じる方も、
勿論沢山いると思いますので、
これは敢くまで個人の趣味の問題なのだと思います。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は土曜日で午前中は石田医師が、
午後2時以降は石原が外来を担当する予定です。
土曜日は趣味の話題です。
今日はこちら。
今年のアカデミー賞の作品賞など7部門を受賞したヒット作ですが、
並行宇宙を目まぐるしく行き来しながら、
中国からアメリカに移民した一家の、
家族の危機とそこからの再生が描かれます。
これはかなり好みの分かれる映画で、
個人的には全く駄目でした。
四畳半から宇宙規模の冒険が始まるというのは、
松本零士さんが開拓した世界だと思いますが、
この映画は基本的にはそのパターンで、
ミニマルな世界が宇宙規模のロマンに拡大するのが魅力の筈ですが、
ビジュアルに殆ど膨らみがなくて、
何か最初から最後まで貧相なんですよね。
如何にもアメリカ的な、
しょうもないギャグとパロディが山盛りで、
「ケンタッキー・フライド・ムービー」や「フレッシュゴードン」と、
ほぼ変わらないようなセンスです。
まあ、ほぼコントなのですが、
とても恥ずかしいことや無意味なことをすると、
他の世界にジャンプ出来るとか、
手の指がソーセージになっている世界があるとか、
勿論意図的にチープにしているのは分かるのですが、
面白さを微塵も感じないのが絶望的です。
映像センスは徹底して貧相なのですが、
内容はその割にちょっと哲学的なんですね。
ストーリーラインは家族崩壊の危機があって、
個々の対立やトラウマが幻想世界を利用して描かれて、
最終的には家族が再生してめでたしめでたしになります。
これ、ベルイマンの「野いちご」と一緒ですよね。
でも、出鱈目をやっている筈なのに、
こんなにお話が予定調和でいいのかしら?
これはもう個人的な趣味の問題ですが、
あまり良いとは思えませんでした。
ただ、アカデミー賞を取ったのは、
そうした穏当で哲学的なスパイスのある物語のせいだと思いますし、
かつてハリウッドで活躍したアジア系の俳優を集結させて、
それを1つの家族として主人公にするのですから、
これも今何が評価されるのかのツボを、
しっかり押さえているのだと思います。
そういう計算されたあざとさのようなものにも、
何かモヤモヤする物を感じてしまいました。
一番はビジュアルに、
もっと映画ならではの美しさや、
スケールの大きさが欲しいんですよね。
それが全くないというのは、
個人的には映画の魅力がないというのと、
僕にとっては同義なのです。
そんな訳で延々と続く同じような場面を、
ぼんやりと観ている間に終わってしまったような映画ですが、
こうした映画に新しさや魅力を感じる方も、
勿論沢山いると思いますので、
これは敢くまで個人の趣味の問題なのだと思います。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。