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オミクロン株の感染とインフルエンザの生命予後比較 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
インフルエンザと新型コロナの生命予後.jpg
JAMA Network Open誌に、
2023年2月15日ウェブ掲載された、
新型コロナのオミクロン株による感染と、
季節性インフルエンザの生命予後を比較した論文です。

新型コロナウイルス感染症の入院事例における死亡率は、
季節性インフルエンザ感染症の2から3倍である、
とするデータが報告されています。
こうしたデータが新型コロナウイルス感染症が重症化しやすい病気であることの、
1つの根拠となっているのですが、
これはオミクロン株が流行の主体となる以前のデータです。

オミクロン株は感染力は非常に強いものの、
比較的軽症で重症化は稀と考えられています。

それでは、オミクロン株の流行期においても、
季節性インフルエンザより重症化が多いのでしょうか?

今回の研究はスイスにおいて、
オミクロン株と季節性インフルエンザの両者が流行した、
2022年1月15日から3月15日の時期において、
入院した両者の患者の予後を比較しているものです。

3066名の新型コロナのオミクロン株由来の感染者と、
2145名の同時期の季節性インフルエンザの感染者とを比較したところ、
条件を補正した上での入院中の死亡リスクは、
オミクロン株の感染者がインフルエンザの1.54倍(95%CI:1.18から2.01)、
有意に増加していました。
一方で集中治療室への入室のリスクについては、
両者で差は認められませんでした。

このように、
オミクロン株が主体になることに伴って、
新型コロナウイルスの感染は軽症化し、
入院中の死亡リスクも低下していますが、
それでも季節性インフルエンザと比較すると、
死亡リスクが高い傾向は認められます。

今後新型コロナの感染と季節性インフルエンザの感染は、
法律上は同等のものとして扱われるようになりますが、
その重症化リスクには差があるということは、
今後も配慮が必要な事項ではあるように思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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