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変形性膝関節症に対する運動療法の効果 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
変形性膝関節症の運動療法.jpg
Annals of Internal Medicine誌に、
2023年1月24日ウェブ掲載された、
変形性膝関節症の運動療法についての論文です。

変形性膝関節症は、
加齢や体重の負荷などによって、
関節でクッションのような働きをしている半月板がすり減り、
膝関節の炎症を起こして膝の痛みが生じる病気で、
進行すれば歩行が困難となって、
ADLの低下にも結び付く、
一般的で身近な病気である共に、
怖い病気でもあります。

進行すれば手術などの治療が行われますが、
初期の段階では鎮痛剤で痛みや炎症をコントロールしたり、
ヒアルロン酸の関節への注入が行われて、
一定の有効性のデータも存在しています。
そして、同じように有効性の確認されている治療法が、
膝に軽い負荷を掛けて動かし、
周辺の筋肉を強化する運動療法です。

運動療法に効果のあることは確認されていますが、
それでは実際にどのくらいの運動量が適切であるのか、
やればやるだけの効果があるのか、
それともやり過ぎれば却って良くないのか、
というような点については、
あまり科学的な検証がされていないのが実際です。

そこで今回の研究ではスウェーデンとノルウェーにおいて、
変形性膝関節症と診断されて痛みの既往のある189名に患者を、
くじ引きで2つの群に分けると、
一方は週に3回、1回70から90分の運動プログラムを施行し、
もう一方は回数は同じですが、
1回20から30分の比較的軽い運動プログラムを施行して、
治療を12週間継続し、その効果を比較しています。

その結果、
どちらの運動プログラムも症状の改善効果が認められ、
その有効性にはスポーツでの症状など、
一部の項目を除いては、
明確な違いは認められませんでした。

つまり、変形性膝関節症の治療として行う運動療法は、
比較的短時間でその有効性は認められ、
それ以上負荷を増加させても、
より治療として有効ということはないようです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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