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「ベネデッタ」 [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は日曜日でクリニックは休診です。

休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
ベネデッタ.jpg
ポール・ヴァーホーベン監督が、
80歳を過ぎてフランスで監督した新作が、
今ロードショー公開されています。

これは実在の同性愛者の修道女を主人公にした、
中世ロマネスク的な怪作で、
かつては量産されたこともあった、
修道院を舞台にした見世物ポルノ映画や、
ハマーフィルムなどが量産した、
怪奇味もある残酷描写とエロスが売りの歴史劇などのスタイルを、
基本的には踏襲しながら、
部分的には昔のハリウッド製史劇めいたスケール感もあり、
ペストの描写や主人公のキャラなどには、
今を照射する部分もあるという、
複雑な味わいの作品です。

結構1960年代くらいにはこうした映画が沢山あって、
ヨーロッパの見世物映画のジャンル物でもあったのですね。
主軸はホラーと西部劇ですが、
それ以外にこうした修道院物も定番としてあったのです。
その後の女囚物のバリエーションと言えるかも知れません。

ただ、意外に権力批判的な側面と、
フェミニズム的な側面をそうした映画は持っていて、
ラストは権力者が大抵民衆に虐殺されますし、
女性も男性に暴力的に反逆し復讐を遂げるのです。

こうした部分が意外に今に通じているじゃん、
というのがおそらくこの映画の企画の根底にあるもので、
ある意味昔の見世物映画のスタイルを、
そのままに再現しているだけなのに、
観ている方が勝手に「現代的な視点を持っている」、
と誤解することを期待しているようなところがあるのです。
ヴァーホーベン監督としては、
こうしたお遊びを一度はやってみたかった、
というところなのかも知れません。

キャストは皆好演で、
特にシャーロット・ランプリングの修道院長は、
その振幅のある人間味と威厳の表現とが素晴らしく、
他の出演作を観ても、
彼女はキャリアの中で2回目の黄金時代を迎えている、
という思いがありました。

個人的には前作の「エル」と同じく、
かつての力押しの強烈キャラ爆発のヴァーホーベンが好きだった身としては、
勿論ご年齢を考えれば当然のことではあるのですが、
最近のちょっと達観したような作品は、
やや物足りなく感じることも事実です。

映画館は18禁映画では馴染みの光景ですが、
エッチ好きの高齢者で割と埋まっていました。
多分それほど満足はせずに、
映画館を後にされたことと思います。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
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