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「パンク侍、斬られて候」(2018年映画版) [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は土曜日で午前午後とも石原が外来を担当する予定です。

土曜日は趣味の話題です。
今日はこちら。
パンク侍.jpg
町田康さんのぶっ飛んだ時代小説を、
宮藤官九郎さんが脚本を書き、
石井岳龍さんが監督した映画版が、
今ロードショー公開されています。

これは原作は僕くらいの世代的には、
筒井康隆さんの焼き直し的な感じのものなんですよね。
ただ、筒井さんの作品は今読むと矢張りとても古めかしくて、
何と言うのかな、
個人の自我がとことん肥大化して、
大衆とマスメディアという化け物が全てを支配して、
高度に情報化され退廃化した社会を、
ある意味予言したような作品群であった訳ですが、
今は実際に筒井さんが妄想する100倍くらい凄まじく、
そうした世の中になってしまっているので、
「今さらそんな当たり前のことを言われても…」
という気分にどうしてもなってしまうのです。

少し前に筒井さんの作品を読み直してみて、
昔はゲラゲラと腹がよじれるくらいに笑えたのに、
全然ただの現実を描いているだけなので、
ちっとも笑えないことに愕然としたことがあります。

その点町田さんのこの作品は、
筒井さんの世界を現代にフィットするように、
巧みに読み替えたような感じがあって、
オリジナルとは到底思えないものの、
まずは面白く読むことが出来ます。

ヘンテコな新興宗教は「ドグラマグラ」を意識したもので、
それほどの新味はありませんが、
後半猿回しから猿が舞台の前面に登場する辺りの不気味さは、
なかなかのもので、
ラストで世界を終わらせてしまう辺りに、
町田さんのある種の覚悟を感じる思いがあります。

ただ、ハチャメチャなこの原作を、
実写で映画化するのは相当ハードルが高そうに思われるところ、
脚本のクドカンはほぼ原作のままに台本を作り、
石井岳龍監督もほぼ原作の通りにイメージを尊重して、
愚直なまでに原作をリスペクトした一作に仕上げています。

正直相当感心しました。

石井監督はカルトもアクションも、
独自の拘りがあるのだと思いますが、
前作の「蜜のあわれ」もなかなかの美意識に裏打ちされていて、
見応えがありましたし、
今回の作品でも、
ビジュアルの統一感がなかなかに素晴らしく、
魅力的なキャストの大芝居を、
130分に過不足なく綺麗にまとめ上げた手腕は、
これも凡手ではありません。

原作を読まれないで映画を観られた方は、
時代劇なのに時代考証無視のカタカナ交じりの台詞や、
寒いギャグや自我の肥大した若者同士のじゃれ合いを、
クドカンの趣向だと思われたかも知れませんが、
実はほぼほぼ原作そのままの台詞なのです。

唯一の不満はクライマックスが、
やや拙いCGまみれであることと、
レイティングをG(制限なし)にするために、
人間や猿がバンバン爆発するという残酷シーンを、
抽象的な処理で逃げていることです。
ただ、猿をリアルに爆発させるのは、
動物愛護的に叱られてしまうのだと思いますし、
興行的な観点から、
レイティングは避けるという事情があったとは推察されます。
でも、これはやらないとこの作品を映像化する意味が、
あまりなくなるという気がしますから、
ちょっと残念ではありました。
ただ、転んでもただでは起きないというのか、
原作の人間と猿の爆発を花火にして、
石井輝男さんの「江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間」のオマージュにしている、
という辺りなど、
マニア心をくすぐるような感じがあります。

いずれにしてもこの空中分解必死の企画を、
このレベルでまとめ上げたことは、
控えめに言っても賞賛に値する力技で、
僕は大好きな作品です。

考え抜かれたキャスティングが成功していて、
役者は皆抜群に良いのですが、
染谷将太さんの狂気と、
豊川悦司さんの愛らしい悪党ぶりは、
中でも繰り返し見たくなる至芸でした。

あまり評判は良くないのですが、
個人的にはこれまでに観た今年の日本映画の中では、
「万引き家族」と共に最も優れた作品だと、
大真面目に思っています。

どちらも間違いなく今僕達が生きているこの地獄さながらの世界を、
想像力を駆使して描ききった傑作なのです。

皆さんも是非。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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第33回健康教室のお知らせ [告知]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は金曜日でクリニックは休診ですが、
老人ホームの診療などには廻る予定です。

それでは今日の話題です。

今日はいつもの告知です。

こちらをご覧下さい。
33回健康教室.jpg
次回の健康教室は、
7月21日(土)の午前10時から11時まで(時間は目安)、
いつも通りにクリニック2階の健康スクエアにて開催します。
告知が遅くなりまして申し訳ありません。

今回のテーマは「最新版便秘の基礎知識」です。

便秘というのは非常に身近な症状ですが、
赤ちゃんからお年寄りまで、
その原因はそれぞれに違っていても、
年齢に関わらずに私達を悩ます病気です。

基礎疾患のない便秘症というのは、
悪性の病気という訳ではありませんが、
高度の便秘は腸閉塞を来して命に関わることもあり、
また緊急手術で便をかき出すような処置が、
必要になるようなケースもあります。

便秘薬は医療用から市販のもの、
また民間療法の類まで、
これも無数に存在していますが、
全ての人が希望している「自然な排便」を実現するものはなく、
その薬の弊害で悩むような事態も稀ではありません。

私達はどのように便秘に向き合うべきなのでしょうか?
どのような時にお医者さんに相談をするべきなのでしょうか?
本当に便秘に詳しいのは誰でしょうか?

今回もいつものように、
分かっていることと分かっていないこととを、
なるべく最新の知見を元に、
整理してお話したいと思っています。

ご参加は無料です。

参加希望の方は、
7月19日(木)18時までに、
メールか電話でお申し込み下さい。
ただ、電話は通常の診療時間のみの対応とさせて頂きます。

皆さんのご参加をお待ちしています。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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抗血小板剤未使用時の出血リスクについて [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
一般住民の出血リスク.jpg
2018年のJAMA誌に掲載された、
一般集団における消化管などの出血のリスクについての論文です。

脳卒中や心筋梗塞などの心血管疾患のリスクが高い場合には、
その発症予防のために、
アスピリンなどの抗血小板剤を使用していることで、
一定の予防効果が期待出来ます。

これまでにそうした心血管疾患を起こしたことのある患者さんでは、
その再発のリスクは非常に高いものなので、
その使用にメリットのあることはほぼ間違いがありません。

これを二次予防と言います。

その一方でこれまでにそうした病気を発症していない場合には、
二次予防と比較して抗血小板剤の予防効果は、
より低いものとなります。

従ってこの一次予防において抗血小板剤を使用するかどうかは、
その発症リスクの予測と、
使用による有害事象や副作用の頻度の予測とを、
比較検証して、
そのメリットが明確にそのデメリットを上回る場合に、
初めて検討されるべきだと考えられます。

抗血小板剤の有害事象の筆頭は、
消化管出血や脳内出血などの出血系合併症です。

アメリカの予防医学の専門部会は、
50代でその後10年間の心血管疾患リスクが10%以上の時に、
アスピリンの低用量での使用を推奨しています。

ただ、その元になったデータは寄せ集めのもので、
特に一般の人口における出血リスクについては、
あまり信頼性の高いものではありません。

そこで今回の研究ではニュージーランドにおいて、
プライマリケアで登録された一般住民の疫学データを活用して、
心血管疾患の既往がなく、
抗血小板剤などの出血リスクを高める薬剤を使用していない場合の、
出血リスクの推測を行っています。
トータルな対象者は30から79歳の359166名です。

その結果、
人口1000人当り年間2.19件(95%CI: 2.11から2.27)の、
非致死性消化管出血が発症し、
消化管出血による死亡率は、
3.4%(95%CI: 2.2から4.1)に達していました。

これをアメリカ予防医学部会の提言の元になったデータと、
比較した表がこちらになります。
出血リスクの比較の表.jpg
これはちょっと驚くような違いがあって、
たとえば40代の男性で非致死性消化管出血のリスクは、
人口1000人当り年間1.83件ですが、
アメリカ作業部会の出した推計は、
同じ年齢区分で0.5件となっていて、
3倍以上の違いがあります。

つまり、これまでの想定より今回の疫学データは、
遙かに出血のリスクが高いのです。

これを利用してアスピリンの一次予防の効果を検証すると、
未使用の場合の出血リスクの増加によって、
アスピリン使用時の出血リスクも上方修正され、
従来よりその予防効果は、
遙かにデメリットの大きなものとなってしまいます。

そのどちらが実態に近いのか、
という点はまだ何とも言えませんが、
現行のガイドラインを鵜呑みにすることが、
それほど科学的であるとは言い難く、
地域差の問題なども含めて、
この問題は今後大きな議論を呼ぶことになりそうです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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食べ物の種類と脳内報酬系との関連について [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は水曜日なので診療は午前中で終わり、
午後は産業医の面談などに廻る予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
糖と脂質の脳への影響.jpg
2018年のCell Metabolism誌に掲載された、
食事の種類と脳内報酬系と言われる脳の機能との関連を検証した、
なかなか興味深い論文です。

肥満というのは現代の深刻な健康問題ですが、
スナック菓子や菓子パン、ケーキなどの、
見ると思わず食べたくなるような食品が販売され、
それを食べ過ぎてしまうことが、
その1つの大きな要因として考えられます。

そもそも動物というのは、
自分にとってその食べ物が、
どのくらいのカロリーを有しているのかを、
なかば本能的に理解をしていて、
食品の量ではなくカロリーで、
どのくらい食べれば良いのかを、
脳が判断していると考えられています。

人間を含む哺乳類において、
その仕組みは脳の中脳辺縁系という部分で、
コントロールをされていると理解されています。

ただ、この中脳辺縁系は脳内報酬系などと呼ばれているように、
ドーパミン系の神経を興奮させて、
その部位がある行動で刺激されると、
それをある種の快感と判断して、
その行動が繰り返されるという側面を持っています。

生存のために最適な食品を食べた時に、
それが中脳辺縁系を刺激して、
その食行動が習慣化されれば、
それはその生物の生存において意義のあることですが、
今の人間の環境のように、
周りに食べ物があふれていて、
不健康でカロリーも過多な食品が、
見た目をインスタ映え良く粉飾して、
味も甘く香りもそそるように魅力的な工夫が凝らされていると、
それに騙されてしまうという可能性も、
脳内報酬系の性質としては否定は出来ません。

今回の研究は健康なボランティアを対象として、
糖質(炭水化物)主体の食品と、
脂質主体の食品、
そして脂質と糖質とを両方多く含む食品の3種類に分け、
同じカロリーのポーションとして被験者に見せ、
どれを好むかという傾向と、
その時に脳に起こる変化を、
機能性MRIを使用して比較検証したものです。

これはカロリーは同一なので、
生物の本能としては、
3種類で同等の反応が出ることが正常なのです。

具体的には糖質主体の食品はキャンデーやパスタやパン、
脂質主体の食品はチーズやサラミ、
糖質と脂質を含む食品はケーキやビスケットなどが映像になっています。

その結果、
脂質や糖質主体の食品よりも、
多くの人が脂質と糖質を両方含む食品をより好み、
機能性MRIにおいて、
脳内報酬系が活発に反応していることが確認されました。

このように、
脂質と糖質を含む人工的な食品を、
人間はより脳で好むという性質があるので、
それが元々の適正なカロリー摂取の仕組みを狂わせて、
肥満などの原因の1つになっているのではないか、
というのが上記論文の筆者らの考えであるようです。

これは画像のイメージにも偏りがありますし、
食品の画像の好みの問題であって、
実際の食行動に結び付くかどうかは、
推測に過ぎないという気がしますが、
食品メーカーなどの過剰な宣伝によって、
人間の本来の食行動がゆがめられ、
その本質が脳内報酬系にあるのでは、
という推論は大変興味深く、
今後より踏み込んだ知見を期待したいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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コーヒーの生命予後改善効果とカフェイン代謝(UKバイオバンクの解析) [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
コーヒーとカフェイン代謝と健康.jpg
2018年のJAMA Internal Medicine誌に掲載された、
コーヒーの生命予後への効果と、
カフェイン代謝に関わる遺伝子変異との関連を検証した論文です。

コーヒーを飲む習慣が、
総死亡のリスクを減少させ、
心血管疾患や一部の癌のリスクも減少させることは、
世界各地で行われた大規模な疫学データから、
ほぼ実証された事実です。

その結果を受け、
2015年のアメリカの健康的な食事習慣のガイドラインでは、
1杯8オンス(ほぼ240ミリリットル)のカップで、
1日5杯までのコーヒーを飲む習慣を、
健康的な食習慣として推奨しています。

ただ、1日5杯を超えるコーヒーにおいても、
健康上の害はないのか、と言う点については、
まだ明確な結論は出ていません。

コーヒーはカフェインを多く含む飲み物で、
カフェインには常用性があり、
また交感神経を刺激して心臓にも負荷を掛けるので、
大量のカフェインが有害であることもまた事実です。

従って、コーヒーが健康に良いとは言っても、
飲み過ぎれば害になることは間違いがなさそうです。

ここで1つ問題なのは、
カフェインを身体で代謝する酵素には遺伝子のタイプがあって、
そのタイプによっては代謝が極端に悪く、
そうでない人と比べて、
血液のカフェイン濃度が高くなる可能性が想定されるということです。

実際にカフェインの代謝酵素の活性が低い人に限って、
カフェインの摂取量が多いと心筋梗塞のリスクの増加に繋がった、
というような報告も過去には発表されています。

その遺伝子のタイプによる影響というのは、
どの程度のものなのでしょうか?

そうした点を検証する目的で、今回の研究では、
UKバイオバンクという、
世界的に有名な医療情報のデータベースを活用して、
50万人近い対象者の、
コーヒーの摂取量と健康状態、
そしてカフェインの代謝酵素のタイプとの関連を検証しています。

10年を超える観察期間における総死亡のリスクは、
コーヒーを全く飲まない群と比較した時に、
1日1杯で8%(95%CI: 0.87から0.97)、
2から3杯で12%(95%CI: 0.84から0.93)、
4から5杯で12%(95%CI: 0.83から0.93)、
6から7杯で16%(95%CI: 0.77から0.92)、
8杯以上で14%(95%CI: 0.77から0.95)と、
それぞれ有意に低下していました。

同様の傾向はインスタントコーヒーでも、
カフェインレスのコーヒーでも認められ、
カフェインの代謝酵素に関わる遺伝子の多型は、
その死亡リスクの低下に影響を与えていませんでした。

このように、
今回の結果では1日8杯以上というコーヒーにおいても、
総死亡のリスクの低下は有意に認められていて、
どうやらカフェインとその健康効果との間には、
あまり関連はなさそうだ、という結果になっています。

ただ、これは相反するようなデータ
(カフェインの代謝物濃度と健康影響が相関した)
もこれまでに報告されていて、
カフェインの代謝産物の影響なども複雑に絡み合っているので、
今回のデータのみをもって、
コーヒーの効果はカフェインと無関係とは言い切れないのですが、
大規模データでこうした結果の出た意義は大きく、
コーヒーの健康影響への議論は、
まだまだ加熱することになりそうです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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HPVワクチンによる皮膚扁平上皮癌治癒効果 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
HPVワクチンの皮膚癌への有効性.jpg
2018年のJAMA Dermatology誌に掲載された、
HPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチンを、
高齢者の皮膚の扁平上皮癌に使用して、
著効と言って良い効果があったという、
興味深い1例報告です。

ヒトパピローマウイルスが、
子宮頸癌以外にも、
多くの癌の発生に関わっていることは、
広く知られていますが、
皮膚の扁平上皮癌も、
その1つです。

通常こうした知見はあくまで研究レベルのもので、
癌の治療にそのまま使えるようなものではありませんが、
今回の症例報告は手術適応のない、
90代の女性に発症した多発性の皮膚扁平上皮癌が、
ガーダシル9という国外では使用されている9価のHPVワクチンによって、
ほぼ完治と言って良い治療効果が認められたという、
かなり驚くべき事例です。

当該の患者さんに対して、
6週間の間隔を置いてガーダシル9を、
通常の接種量で2回の筋肉注射による接種を行います。
更に同じワクチン液0.5ミリリットルを、
生理食塩水2.5ミリリットルで希釈し、
皮膚にリドカインとエピネフリンによる局所麻酔をした上で、
直接皮膚の癌組織に注入します。
8ヶ月の間に都合4回の腫瘍内注入を繰り返したところ、
8ヶ月後には全ての肉眼的腫瘍が縮小し、
11ヶ月後には肉眼的には瘢痕を残すのみで、
組織学的検証でも、
軽度の細胞の異形成を示すのみで、
癌細胞は完全に消失していました。
そして、治療開始後24ヶ月の時点で、
再発の兆候は認められていません。

ちょっと信じられないほどの劇的な治療効果です。

治療前後の画像が論文には掲載されていますが、
ちょっとどぎつい刺激の強い感じのものなので、
あえて引用はしません。
無料で読める論文ですので、
ご興味のある方は本文をご一読下さい。

これはまだ1例報告なので、
仮に事実としても、
どのような症例に効果があるのか、
特定の事例のみの効果なのか、
など詳細はまだ不明ですが、
通常感染予防として使用されているワクチンに、
このような出来上がった癌の治療効果がある、
という報告は大変興味深く、
今後の検証に期待をしたいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

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「ハン・ソロ スター・ウォーズ・ストーリー」 [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は日曜日でクリニックは休診です。

休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
ハン・ソロ.jpg
ハン・ソロの若き頃の冒険を描いた、
スターウォーズの外伝が今公開中です。

これは西部劇になっているのですが、
裏切り裏切られの悪党同士の化かし合いで、
マカロニ・ウエスタン的な世界観があり、
ちょっと「マッド・マックス 怒りのデスロード」的な部分もあります。

ただ、これはどうだったのでしょうか?

そもそもそうした世界観が、
スターウォーズのスペース・オペラ的、脳天気な世界観と、
フィットしていたのかどうか、
というのがはなはだ疑問です。

ディスニーになってからのスター・ウォーズは、
時代の変化やマーケティングもあるのでしょうが、
本来のスターウォーズとは違うスタイルに傾斜していて、
それが成功しているとは言えない、
という点が問題だと思います。

今回の作品はマカロニウェスタンやマッドマックスに、
明らかに影響を受けているのですが、
それでいて子供でも制限なく見られないといけないので、
そこにそもそも無理がありました。
もっと能天気で牧歌的な世界観で、
良かったのではないでしょうか。

個人的には、
前半の列車強盗はなかなか面白かったのですが、
それ以外は受け付けませんでした。

それでは今日はこのくらいで。
皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
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ジョンソン&ジャクソン「ニューレッスン」 [演劇]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は土曜日で午前午後とも石田医師が外来を担当します。
受診予定の方はご注意下さい。

今日は土曜日なので趣味の話題です。
今日はこちら。
ジョンソン&ジャクソン.jpg
ナイロン100℃の大倉孝二さんと、
ブルー&スカイさんがタッグを組み、
「馬鹿馬鹿しい芝居」を追求するというユニット、
ジョンソン&ジャクソンの新作公演に足を運びました。

今回は大倉孝二、ブルー&スカイに加えて、
比較的常連の池谷のぶえさんと、
いとうせいこうさん、小園茉奈さんが参加しています。

このシリーズは何本か観ているのですが、
部分的には面白いギャグや場面があるものの、
トータルには単調で退屈な場面も多いという印象でした。
場面場面に馬鹿馬鹿しさやシュールさはあるのですが、
意外に起承転結のある物語的展開があって、
それが予定調和的になってしまうので、
部分部分のシュールさが、
却って展開をスローにしてしまう感じがあるのです。

今回の作品はブルー&スカイさんのカラーが、
かなりくっきり出た感じの作品になっていて、
昔の演劇弁当猫ニャーのような雰囲気です。
得体の知れない金持ちの道楽に、
インテリや貧乏人が巻き込まれるという、
お馴染みのパターンなのですが、
「書き割りの熊の腸を掃除する」というのが素敵で、
それが1本物語に芯を通した、
という感じがします。

途中は矢張り少し退屈で、
ウトウトしたりもしましたが、
なかなか素敵な「馬鹿馬鹿しい芝居」に、
なっていたと思います。
時事ネタなど何もないのが良いですね。

役者ではちょっとほっそりされたのは残念な池谷のぶえさんが、
いつもの愛らしくて抱きしめたくなるような「おじさん」を含めて、
八面六臂の活躍で楽しめました。
彼女は猫ニャーの看板でしたが、
ブルー&スカイさんの演出で、
最も真価が発揮されるタイプの女優さんだと、
改めて思いました。
昔を思い出していたのかも知れませんね。

そんな訳で抜群とは言えませんが、
まずまず楽しめた作品でした。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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インフルエンザ生ワクチンと不活化ワクチンの比較(2018年カナダ) [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は金曜日でクリニックは休診ですが、
老人ホームの診療などには廻る予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
インフルエンザ生ワクチンと不活化ワクチンの比較.jpg
2018年のJAMA Pediatrics誌に掲載された、
インフルエンザの生ワクチンと不活化ワクチンとを比較した論文です。

現状日本で使用されているインフルエンザワクチンは、
皮下注射のタイプの不活化ワクチンですが、
海外では鼻からスプレーをする方法の生ワクチンも使用されています。

この生ワクチンはアメリカでは2003年には認可され、
ヨーロッパでは2011年に認可されて、
2011年以降に本格的に接種が開始されました。
導入されたのはアメリカ、カナダ、イギリスなどです。

ただ、その対象年齢や位置づけは国によっても異なっています。

アメリカは2014から2015年のシーズンには、
2から8歳の年齢層において、
不活化ワクチンより生ワクチンを優先して接種の方針としましたが、
2013年から2016年における有効性の検証により、
H1N1pdm09(2009年に流行した「新型」ウイルス)に対する効果が、
ほぼ無効であったという結果がまとまり、
2016年のシーズンでは「推奨しない」という判断になりました。
しかし、2018年の2月には、一転して、
2018年から2019年のシーズンにおいて、
再度生ワクチンを推奨するという方針を打ち出しています。

今回の研究が行われたカナダでは、
2011年から2013年には2から17歳で生ワクチンが採用され、
2014年から2016年には2から6歳で生ワクチンが採用されています。

このように生ワクチンと不活化ワクチンの有効性に、
どの年齢でどの程度の差があるのかについては、
まだ一定した結論が得られていません。

今回の研究はカナダにおいて、
2から17歳の年齢層における、
生ワクチンと不活化ワクチンの有効性の比較を、
検査で確定したインフルエンザに限って検証しているものです。

2012年から2016年の4シーズンにおいて、
インフルエンザ感染が疑われた2から17歳の鼻腔もしくは咽頭の検体、
トータル10779件に遺伝子検査を施行したところ、
3161件がインフルエンザウイルス感染と診断されました。
これをワクチン接種歴とその種類を聞き取りし、
検査の陰性例をコントロールとする手法で解析したところ、
2015から2016年のシーズンのB型インフルエンザ感染に関しては、
不活化ワクチンの方が生ワクチンより有効でしたが、
それ以外のシーズンの全てのウイルス型に対するワクチンの有効性には、
生ワクチンと不活化ワクチンとの間で、
有意な差は認められませんでした。

このように、
今回のカナダの解析においては、
生ワクチンと不活化ワクチンとの間に、
2から17歳の年齢層において効果の差は認められませんでした。

従って、この年齢層においては、
その使用のし易さやそのお子さんの健康状態などを勘案して、
どちらかを選択するという考え方が、
どうやら妥当であるように思われます。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

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アイスクリーム頭痛とそのメカニズム [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
アイスクリーム頭痛.jpg
これは随分と古い資料ですが、
1997年のBritish Medical Journal誌の解説記事です。

アイスクリーム頭痛という身近で面白いテーマの短い総説ですが、
これ以降この症状についての知見は、
それほどの大きな進歩はないようです。

アイスクリーム頭痛(Ice cream headache)は、
寒冷刺激による頭痛(Cold stimulus headache)の一種で、
アイスクリームやかき氷を食べた時に、
すぐに起こる頭がキーンとするような頭痛のことです。

典型的な経過は冷たいものを食べて数秒で始まり、
30から60秒くらいでピークとなり、
2 から5分以内には消退します。

その頻度(有病率)は報告によりバラバラで、
7.6%という報告から93%という報告まであります。

大人での調査では8%というものから、
15%、37%、60%と様々です。

ティーンエイジャーくらいの調査では、
概ね大人よりその頻度は多く、
41%から79%という報告があります。

アイスクリーム頭痛が注目されるのは、
主に片頭痛との関連においてです。
かなり古い報告では、
片頭痛の患者さんの93%にアイスクリーム頭痛が見られる一方で、
片頭痛のない人では31%にしか見られなかった、というものがあります。
この報告はアイスクリーム頭痛と片頭痛との関連を示唆するものですが、
より新しい報告では、
関連は見られない、というものもあって、
一定はしていません。

アイスクリーム頭痛のメカニズムは、
三叉神経を刺激して興奮させるのではないか、
という考え方が有力です。
一種の関連痛ですが、
そのメカニズムは推測の域を出ていません。

古い報告ではアイスクリーム頭痛は夏のみに起こる、
という報告がありますが、
冬に調査して同様に認められた、
という報告もあり、
季節性は明確ではないようです。
風変わりなものではアイスクリームを5秒以内に一気食いした場合と、
ゆっくり食べた場合とを比較したものがあり、
ゆっくり食べると頻度は少なくはなりますが、
それで予防されるということはないようです。

今日はアイスクリーム頭痛の総説でした。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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