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「ジュラシック・ワールド 炎の王国」 [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日最後の記事は映画の話題です。
それがこちら。
ジュラシックワールド.jpg
ジュラシック・パークの新シリーズで、
前作の「ジュラシック・ワールド」の正調の続編である、
「ジュラシック・ワールド 炎の王国」がロードショー公開されています。
MX4Dで観て来ました。

1993年の「ジュラシック・パーク」は、
当時はリアルなCGがまだ一般にはなかった時代で、
本当にわくわくしながら劇場に足を運びました。
Tレックスがどかどか走って来るところとか、
凄かったですよね。
ただ、映画としては前半の説明が長くで、
子供とおじいさんの交流とか、
うっとうしい感じはありました。
何かやぼったい話ですよね。

シリーズを通してそのやぼったさはまあ同じで、
その辺はマイナスなのですが、
恐竜の手を変え品を変えの出現は迫力があります。

今回の作品は前作「ジュラシック・ワールド」と、
同じキャストが多く出演する続編で、
最初は説明パートが少しまどろっこしく、
ブロントサウルスを見て「わあ、本物だ」
と言う場面など、
どうにかならなかったのか、とうんざりなのですが、
その後は島での噴火からの脱出、
後半は大邸宅での恐竜、人間入り交じり、
地下牢の怪物的なキャラも登場しての追いかけっこと、
見せ場のつるべ打ちで大変豪華で見応えはあります。

前半と後半とに同じくらいのスケールの、
それでいて肌合いの全く違う見せ場を用意し、
予告ではほぼ前半しか見せないというのが嬉しく、
エンタメ大作としては夏休みにうってつけの、
豪華な見世物映画として成立していたと思います。

MX4Dも苦情があったのか、
以前より水はあまり掛からない仕様になっていましたが、
動きの演出は悪くなくて、
ガタガタするところより、
屋敷をゆっくり俯瞰で移動するところなどの、
キャメラに連動した動きの計算がなかなかで、
なかなか臨場感を楽しむことが出来ました。

更に続編もあるようですが、
ラストに恐竜が野放しに世界に拡散されるのは、
如何なものかな、というようには思いますが、
まずは楽しめる娯楽作には仕上がっていたと思いました。

そこそこお勧めです。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
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ナカゴー「まだ出会っていないだけ」 [演劇]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日2本目の記事は演劇の話題です。
それがこちら。
ナカゴー 2018.jpg
唯一無二の変な舞台を見せる大好きなナカゴーの本公演が、
今下北沢の駅前劇場で公演されています。

これは昨年の「ていで」に似た、
ナカゴー印の家庭劇で、
ハイバイでの不思議な芝居もなじみ深い、
上田遙さんが客演で、
主役の定食屋をきりもりする女性を演じ、
長く決別していた妹と、
再会して仲直りしようと心の中では思いながら、
結果としてまた喧嘩をしてしまうという心理を、
ナカゴーらしいガジェットは散りばめながら、
本筋は極めて繊細かつ正攻法の心理劇として描いています。

天才鎌田順也さんのお芝居は、
その破天荒な展開とシュールなギャグが魅力ですから、
河童や悪霊や人面痘や口さけ女の集団などが登場する方が、
楽しくて本筋のようにも思うのですが、
数年前からどうやらこうした心理劇や家庭劇に興味が移り、
全うにそれを追求しようとしているようです。

また、これも少し前から、
最初に前説として、
あらすじを最後まで喋ってしまったり、
舞台上で役者が練習として、
本番の台詞を喋ってしまうなど、
普通は「それをしたら台無しだろう」
と思えるようなことをするようになりました。

ただ、
昨年の「ていで」ではそれが全くの失敗で、
何の意味もなく感じられたのですが、
今回の作品を見ると、
最初に予行練習はあるのですが、
大事な台詞は省いていましたし、
最初に登場する前説の女性が、
あらすじを喋ってしまうこと自体は一緒でも、
その女性自体が未来の分かる「予知能力者」だということになっていて、
同じ予知能力者の女性と対決して、
劇中で「予め決まっている未来」を、
変えようとして対決する、
という趣向になっているので、
なるほどそうしたことがしたいのかと、
ようやく腑に落ちるような気分になったのです。

鎌田さんはどうやら、
自分に身近な感情のありかを、
追求するような文学的な芝居を、
エンタメとして成立させる取り組みをしていると共に、
予め書かれた戯曲を演じる、
という行為に対する深い懐疑を、
それ自体テーマとしようとしているようです。

普通考えると、
そんなことをしても意味ないじゃん、
と思えるところですが、
そこが天才の天才たるゆえんで、
その凡人には無意味に見える葛藤が、
全く新しい芝居の萌芽となりつつあるように、
今回は感じました。

昨年の「ていで」を足場にしながら、
今回の作品は数段レベルアップして、
完成度の高い作品となっていましたし、
新劇的な家庭劇としても高い水準で成立しながら、
それがある懐かしさを感じさせるような、
シュールで前衛的な芝居としても成立していたのです。

鎌田さんの新たな境地を見る思いがありました。

役者は主役の上田遙さんが抜群に良く、
重鎮の篠原正明さんもいつもながらの迫力でした。
座組の水準もしっかりと上がっているようです。

正直もっと破天荒さを期待したい部分も正直あるのですが、
今回の舞台はナカゴーの1つの新たな側面の、
現時点での到達点として、
非常に完成度の高い、
素敵なお芝居になっていたと思います。

楽しめました。

それでは次はもう1本、
映画の記事に続きます。
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「菊とギロチン」 [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は日曜日でクリニックは休診です。
休みの日は趣味の話題です。

今日は3本の記事の予定です。

まずはこちら。
菊とギロチン.jpg
瀬々敬久監督のオリジナル企画として、
大正時代を舞台とした3時間を超える長尺の映画です。
「菊とギロチン」という名前もなかなかのインパクトですし、
大正末期を舞台に、
無政府主義のテロリストの若者達と、
女相撲を人生の逃げ場所に選んだ女達との交流を描く、
という内容がまた異色です。

昔のATG映画には、
吉田喜重監督の「エロス+虐殺」や「戒厳令」といった、
今回の映画と同じ時期を扱った前衛映画があって、
基本的には同じ性質のものを描こうとしているのかな、
というようには感じるのですが、
アナーキズムとフェミニズムとの関係とか、
時代の描き方についてはかなり根本的な違いがあって、
この間の政治的な状況の変化と、
歴史をねじ曲げようとする、
立場を問わない多くの情報の乱立が、
実情とは異なる今回のようなフィクションを、
成立させてしまう主因となっているようにも感じました。

僕もその時代に生きていた訳では勿論ありませんが、
本当の大正時代がこんなだった筈はないですよね。
それはもう絶対に違うと思います。
昭和初期くらいの時代の記録映像や映画は、
まだ結構残っていますし、
口語の舞台作品もありますよね。
あの時代には絶対にないような言葉を、
おそらくはかなり無自覚に使っていますし、
時代考証などもデタラメでセットなども安手で稚拙です。

まあ、映画というのはその時代性からは、
離れられない性質のものなので、
この映画の持つ殺伐とした感じ、
ひたすら何かに対して恨みを持ち、攻撃し、
反面一方的に自分を責めたり絶望したりする感じなどは、
間違いなく現代のメンタリティであって、
大正や昭和初期のそれではない、
という気がします。

女相撲の興行の栄枯盛衰を描く、
というのは今までにあまりない面白い趣向で、
「旅芸人の記録」を思い起こさせるような感じもあります。
その雰囲気自体はとても良いので、
個人的には「ギロチン社」の話は脇筋程度にして、
いかがわしい興行の悲哀と人間ドラマを描いた年代記、
という感じにした方が、
個人的にはもっとずっと面白かったのではないか、
というように思いました。

ラストはもうドロドロの崩壊劇になり、
爆薬の使い方などはちょっと面白くショッキングですが、
自分で自傷的に壁で頭を割ったり、
男が女を石で殴って殺すのを延々と見せたり、
死後硬直した死体を桶に入れるために手足を折ったりと、
趣味の悪い場面が続くのがうんざりします。

この監督はこの前の「友罪」でも、
自分で頭に石をぶつけて血を流す光景を、
延々と見せたりして、
言いたいことは勿論あるのでしょうが、
僕にはあまり相性は合わないと感じました。

残酷描写が一概に悪いということではないのですが、
単純かつ即物的に、
それを見せ場にして映画を構成しているような感じが、
ちょっとそれは違うのではないか、
というように思うのです。

今回のような映画においては、
女相撲を逃げ場所にせざるを得なかった女達の悲惨を、
もっと別の形で表現する方法が、
あったのではないでしょうか?

石井輝男監督の残酷時代劇のように、
残酷見世物をそれ自体テーマとして、
徹底して追求した作品などは好きなのですが、
この作品はテーマは完全に別物でありながら、
暴行や残酷描写を見せ場にする、
というのはバランスを欠いているように感じました。

そんな訳で個人的にはちょっと残念な映画で、
役者の熱演は印象に残りますし、
女相撲の流浪の感じなどは非常に良かったので、
中途半端でバランスを欠くメッセージ姓と、
悪趣味な残酷描写の連打はガッカリでした。

前作の「友罪」も、
見事で感動的な原作を、
意味不明の演出で台無しにしている感がありましたし、
この監督の作品はもう見ないようにしようと決めました。

勿論個人的な感想ですのでご容赦下さい。

それでは次の記事に続きます。
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