「エリザのために」 [映画]
こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は日曜日でクリニックは休診です。
日曜日は趣味の話題です。
今日はこちら。
珍しいルーマニア映画で、
カンヌでパルムドールを受賞したこともある、
クリスティアン・ムンジウ監督の新作が、
今ロードショー公開されています。
この作品も2016年のカンヌ国際映画祭の監督賞を受賞しています。
地味な単館上映の作品ですが、
ミヒャエル・ハネケのミステリーに似ている、
というような批評があったので、
それは意外に面白いのじゃないかしら、
と思って足を運びました。
映画館は高齢の方が多く、
この人たちがこの映画を観て、
一体何を考えるのだろうか、
と少し考え込んでしまいました。
悪い映画ではないのですが、
ヨーロッパ映画にありがちな、
余白が多いタイプの作品で、
謎は殆ど明らかにはなりませんし、
画面の凝集度も高くはなく、
ラストは大甘のハッピーエンドになるのも、
何かもやもやしてしまいました。
ごめんなさい。
あまりお勧めの感じではありません。
主人公は外科医で、
妻とはあまりうまくいっておらず、
1人娘を溺愛しているのですが、
大学受験の娘がケンブリッジに入学が決まりかけていて、
最終試験の前日に暴漢に強姦をされかかる、
という事件が起こります。
毎日学校まで主人公は車で娘を送ってゆくのですが、
たまたまその日は本人が少し前で下してと言うので、
校門までは送らなかったのです。
主人公は娘の高校の女教師と不倫をしていて、
事件の一報を不倫現場で聞いたりもするので、
主人公はその事件に責任を強く感じます。
エリザは平常心で試験を受けられるような状態ではなく、
父親は知人の警察署長からそそのかされて、
政治家を介してエリザの試験の点数を、
不正に水増ししようと画策します。
しかし、当のエリザは父親には拒絶的で、
謎の行動を繰り返し、
強姦犯人の捜査にも何故か非協力的です。
政治家は点数かさ上げの見返りに、
自分の肝臓移植の順番の繰り上げを要求するので、
主人公は二重の不正に手を染める羽目になるのです。
果たして主人公の綱渡り的な不正は、
どのような顛末を迎えるのでしょうか?
単純に見える強姦事件の裏に、
何が隠れているのでしょうか?
人物関係は複雑に絡み合い、
登場人物のそれぞれが秘密を抱えていて、
それぞれに行動を起こして物語が展開するので、
日本のテレビドラマに近いようなストーリーラインです。
もちろん、もう少し雰囲気重視で、
距離感のある展開ではあるのですが、
それほど内容に深みがあるという訳ではなく、
あまり掘り下げもないままに物語は終わってしまいます。
やたらと2人の人物が会話をする場面が多く、
そうした場面は殆どが長回しのワンカットで撮影されています。
なので、しばらく2人とも後ろを向いて話していて、
それから少し移動して横向きになる、
というような流れが多いのです。
悪くはないのですが、
それほど構図にこだわった完成度の高い長回しという訳でもなく、
同じような場面が多いので、
作品が単調になったきらいがありました。
ハネケに似ているというのは、
結局ミステリーめいたドラマが、
解決されないままに終わってしまう、という点だけで、
ハネケのような残酷さや凄みは、
この作品からは感じられませんでした。
アメリカ映画と日本映画だけでも詰まらないので、
ヨーロッパや中近東の映画にも手を伸ばそうと思うのですが、
数は沢山あるものの、
公開はすぐに終わってしまいますし、
以前よりあまりフィルターを通さずに公開されている印象なので、
好みの作品を探すのは、
なかなか難しいなと思いました。
それでは今日はこのくらいで。
皆さんも良い休日をお過ごし下さい。
石原がお送りしました。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は日曜日でクリニックは休診です。
日曜日は趣味の話題です。
今日はこちら。
珍しいルーマニア映画で、
カンヌでパルムドールを受賞したこともある、
クリスティアン・ムンジウ監督の新作が、
今ロードショー公開されています。
この作品も2016年のカンヌ国際映画祭の監督賞を受賞しています。
地味な単館上映の作品ですが、
ミヒャエル・ハネケのミステリーに似ている、
というような批評があったので、
それは意外に面白いのじゃないかしら、
と思って足を運びました。
映画館は高齢の方が多く、
この人たちがこの映画を観て、
一体何を考えるのだろうか、
と少し考え込んでしまいました。
悪い映画ではないのですが、
ヨーロッパ映画にありがちな、
余白が多いタイプの作品で、
謎は殆ど明らかにはなりませんし、
画面の凝集度も高くはなく、
ラストは大甘のハッピーエンドになるのも、
何かもやもやしてしまいました。
ごめんなさい。
あまりお勧めの感じではありません。
主人公は外科医で、
妻とはあまりうまくいっておらず、
1人娘を溺愛しているのですが、
大学受験の娘がケンブリッジに入学が決まりかけていて、
最終試験の前日に暴漢に強姦をされかかる、
という事件が起こります。
毎日学校まで主人公は車で娘を送ってゆくのですが、
たまたまその日は本人が少し前で下してと言うので、
校門までは送らなかったのです。
主人公は娘の高校の女教師と不倫をしていて、
事件の一報を不倫現場で聞いたりもするので、
主人公はその事件に責任を強く感じます。
エリザは平常心で試験を受けられるような状態ではなく、
父親は知人の警察署長からそそのかされて、
政治家を介してエリザの試験の点数を、
不正に水増ししようと画策します。
しかし、当のエリザは父親には拒絶的で、
謎の行動を繰り返し、
強姦犯人の捜査にも何故か非協力的です。
政治家は点数かさ上げの見返りに、
自分の肝臓移植の順番の繰り上げを要求するので、
主人公は二重の不正に手を染める羽目になるのです。
果たして主人公の綱渡り的な不正は、
どのような顛末を迎えるのでしょうか?
単純に見える強姦事件の裏に、
何が隠れているのでしょうか?
人物関係は複雑に絡み合い、
登場人物のそれぞれが秘密を抱えていて、
それぞれに行動を起こして物語が展開するので、
日本のテレビドラマに近いようなストーリーラインです。
もちろん、もう少し雰囲気重視で、
距離感のある展開ではあるのですが、
それほど内容に深みがあるという訳ではなく、
あまり掘り下げもないままに物語は終わってしまいます。
やたらと2人の人物が会話をする場面が多く、
そうした場面は殆どが長回しのワンカットで撮影されています。
なので、しばらく2人とも後ろを向いて話していて、
それから少し移動して横向きになる、
というような流れが多いのです。
悪くはないのですが、
それほど構図にこだわった完成度の高い長回しという訳でもなく、
同じような場面が多いので、
作品が単調になったきらいがありました。
ハネケに似ているというのは、
結局ミステリーめいたドラマが、
解決されないままに終わってしまう、という点だけで、
ハネケのような残酷さや凄みは、
この作品からは感じられませんでした。
アメリカ映画と日本映画だけでも詰まらないので、
ヨーロッパや中近東の映画にも手を伸ばそうと思うのですが、
数は沢山あるものの、
公開はすぐに終わってしまいますし、
以前よりあまりフィルターを通さずに公開されている印象なので、
好みの作品を探すのは、
なかなか難しいなと思いました。
それでは今日はこのくらいで。
皆さんも良い休日をお過ごし下さい。
石原がお送りしました。