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根本宗子「皆、シンデレラがやりたい。」 [演劇]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日2本目の演劇はこちらです。
ねもしゅー.jpg
劇団とは別個のプロデュース公演として、
根本宗子さんの作・演出による新作(多分…)公演が、
本日まで下北沢の本多劇場で上演されています。

正味1時間40分くらいの1幕劇です。

猫背椿さん、高田聖子さん、新谷真弓さんが演じる、
設定はおそらくアラフォーくらいの3人の女性がメインで、
彼女達がそれぞれ別個の思いを胸に秘めて、
ある男性アイドルのおっかけをしているという話で、
そこに新垣里沙さんが演じる、
男性アイドルと恋愛沙汰を起こした女性アイドルと、
そのマネージャーが加わって、
ネットの炎上騒ぎの騒動が起こります。
根本宗子さん自身は、
猫背さんの血のつながっていない娘を奔放に演じています。

最近新作は、
ちょっと内容に疑問を感じるようなことの多かった根本さんですが、
今回はアイドルの追っかけやネットの炎上など、
得意なテーマを織り込みながら、
そこに世代間の格差などを新たに付け加えて、
これまでにあまり類例のない、
面白い舞台に仕上げています。

カラオケスナックを舞台にして、
3人の手練れのアラフォー女性の会話がとても楽しく、
その演技合戦はワクワクするような醍醐味がありますし、
締め括りの高田聖子さんの、
開き直りにも見えるポジティブな長台詞が素敵で、
サービス精神豊かな根本さんは、
ラストに予想外の大仕掛けな見せ場まで用意しています。

ラストはパターンとしては急な流血があって、
大人計画みたいなエンディングなのです。
それをそのままで終わりにせず、
シンデレラの帰還とお城を出現させた辺りに、
根本さんのセンスを感じました。
ちゃんと最後は題名と辻褄が合っています。

弱いのは前半で、
調子が出てくるまでが、
ちょっと単調で退屈な遣り取りが続きます。
ただ、3人のベテラン、特に猫背椿さんが、
非常に安定感のある技巧的にも優れた芝居で、
その段取りの部分を支えています。
後半はもう一気呵成に物語は転がって行くのです。

今回、ナイロン100℃、劇団新感線、大人計画から、
それぞれ充分な技量のある女優さんがそろい踏みして、
贅沢な演技合戦を繰り広げるという企画が楽しく、
3人がまた期待通りの素敵な芝居を見せました。
内容も面白いですし、
クライマックスには確固とした主張があり、
ラストのサービス大仕掛けを含めて、
根本さんの力量を示した快作となったと思います。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。

革命アイドル暴走ちゃん「イカれた女子が世界を救う」 [演劇]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は日曜日でクリニックは休診です。

休みの日は趣味の話題です。

今日は演劇の2本立てです。
まずはこちら。
革命アイドル暴走ちゃん.jpg
二階堂瞳子さんが主宰するパフォーマンス集団、
革命アイドル暴走ちゃんの久しぶりの日本での劇場公演が、
横浜で2日間のみ上演されました。

革命アイドル暴走ちゃんを初めて観たのは、
2014年のアゴラ劇場でした。
凄く良かったということではないのですが、
こういうものが嫌いではないので、
結構楽しめましたし、
結構尾を引きました。

30分程度の上演時間で、
全編アニソンなどの音楽が大音量で鳴り響き、
スクール水着姿のキャストが大暴れを繰り広げ、
大量の水やみそ汁の具などが客席には降り注ぎます。
アングラ演劇的なムードもあり、
ちょっと際どい部分もあり、
観客がキャストに抱き着かれてキスの洗礼を受けたりもします。

その後は劇場での公演には、
基本的に毎回足を運びました。

ただ、その後際どい部分については、
次第に後退してなくなってゆき、
アングラ演劇的な部分も後退して、
オタク文化を取り込んだ女性演出家によるパフォーマンス集団、
という感じに落ち着いて来ているという印象です。

今回は横浜で2日間のトータル4ステージで、
固定座席のある劇場での公演ですが、
30分ノンストップの高密度大音響のパフォーマンス、
と言う点はこれまでと同じで、
水や生ものもなく、
かなり落ち着いた感じのものになっていました。

まとまりという点では、
これまでで一番良かったかも知れません。

3人の劇団員のうち、
加藤真砂美さんが抜けられて、
今回は前説をされていました。
名前がないということは、
もう出演はされないのだと思うので、
ファンとしてはちょっと残念です。

今回は明確にアマンダさんと高村枝里さんの、
ツートップという感じになっていて、
バランス的にはそれが悪くなかったと思います。
お二人とも、
以前よりちょっとふっくらとされていました。

このままのスタイルでの継続は、
ちょっときついようにも思うのですが、
今後の展開には期待をしたいと思います。
個人的にはもう少しアングラ色と演劇色があるといいな、
というようには思いました。

それでは2本目に続きます。