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ケラ「陥没」(シアターコクーン・オンレパートリー2017) [演劇]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は土曜日で午前中は石田医師が外来を担当し、
午後は石原が担当する予定です。

今日は土曜日なので趣味の話題です。

今日はこちら。
陥没.jpg
ケラさんがシアター・コクーンで上演している、
ナイロン100℃とはまた傾向の違う作品群の新作として、
「陥没」と名付けられた新作が今上演されています。

1963年の東京オリンピックの直前が舞台ということで、
何となく現在と照らし合わせた社会風刺的な作品を想像してしまうのですが、
実際には死んだ父親に見守られて、
不幸な結婚をした小池栄子さん演じるヒロインが、
自分の人生を取り戻すという、
軽い味わいのファンタジックでほのぼのとした作品でした。

ただ、それにしては3時間半という上演時間は、
如何にも長大で、
派手な場面は岩松了さんの戯曲のように、
敢えて描かないというポリシーなので、
余白を楽しみなさいと言われても、
かなりきつい観劇だった、
というのが本音でした。

勿論ケラさんがそんなことは当然承知の上で、
この作品を作ったのだということは分かるのですが、
上演時間を2時間くらいに圧縮すれば、
凄い傑作になったかも知れないのに、
などと思うと矢張りとても残念な気持ちになってしまいます。

前作の「キネマと恋人」が、
長さは同じくらいでも、
本当に素晴らしい傑作であったので、
どうしても点が辛くなってしまうのですが、
今回は個人的にはガッカリでした。

台本はおそらく早く上がらなかったのだと推察するのですが、
舞台は非常に綺麗に出来ているのに、
セットの個々のパーツがあまり有機的には使われていませんし、
中央に舞台のようなスペースがあるのに、
そこは実際には殆ど使用されていません。

キャストも個々のレベルでは非常に良い芝居をしているのですが、
個々の人物の物語があまり上手く絡み合っていかないので、
それほど客席が沸くような瞬間がありません。
特に松岡茉優さんの役などは、
見せ場もなく余白も上手くなくて残念でした。

元々作品の凹凸の激しいケラさんですが、
題名通り今回はやや陥没した作品だったように思います。

それでも全体としては水準以上のクオリティを保っている点は、
さすがケラさんだという思いはありました。

また次に期待したいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

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