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AIチャットボットを利用した医療相談の人間との比較 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
AIチャットボットの医療質問.jpg
JAMA Internal Medicine誌に、
2023年4月28日ウェブ掲載された、
今流行のAIを活用した健康相談の質についての論文です。

AI(人工知能)を利用した、
ChatGPTという質問対話サービスが、
今非常に話題になっています。
チャットボットというのは、
多くの質問に対する答を、
膨大なデータを元にシステム化したサービスですが、
そこに自分で学び質を向上させてゆくという、
人工知能の仕組みを取り込んで、
より人間のその分野の専門家に近い解答を、
自由度の高い質問に対して可能としたのが、
このAIチャットボットです。

これまでの多くの科学技術の進歩は、
肉体労働や単純作業の部分を肩代わりするものでしたが、
このAIを活用したシステムは、
専門家が素人の質問に答えるというような、
本来非常に専門性の高い知的な作業と思われていた部分を、
機械に置き換えることを可能としていると言う点で、
多くの専門職の人間にショックを与えているのです。

それでは、
医療の部分でそのAIチャットボットの能力は、
どのくらいのものなのでしょうか?

今回の検証では、
実際にネットの健康相談でされた医療に関する医師への質問から、
195のサンプルを無作為に選び、
その医師の解答と、
ChatGPTにより導かれた解答とを、
どちらかを明かさない状態で比較して、
そのクオリティを比較しています。

その結果、
専門家からなる585件の評価において、
78.6%では医師の解答よりChatGPTの解答を評価していました。
ChatGPTによる解答は医師のものより長く、クオリティも高く、
更には親切なものと評価されていました。

論文中には実例が公開されていますが、
たとえば「爪楊枝を誤って飲み込んでしまいました。それで命に関わる可能性はありますか?」
という質問に対して、
医師は「呑み込んで数時間して症状がなければほぼ大丈夫」、
というような解答であるのに対して、
ChatGPTは、
まず「尖ったものを飲み込んだのですから心配ですね」
と相手を思いやるような文章から始まり、
「爪楊枝は木で出来ていて毒性はなく、粘膜を傷つける可能性はあるものの、
その大きさや先端の形状などからその可能性は低い」
と緻密な分析が続いています。
どう考えても、人間の医師よりAIの方が、
「人間味のある」解答を親切に示しているのです。

勿論まだ質問によっては、
不正確でリスクのあるような解答もありますが、
それほど遠くない将来、
専門的な質問はまずはAIに、
という時代が来ることは、
間違いのないことであるようです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。


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