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マームとジプシー「BEACH」 [演劇]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は日曜日でクリニックは休診です。

休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
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動きや台詞の様式的な繰り返しの中に、
思春期の喪失感や死の匂いを漂わせた、
独特のスタイルが面白い演劇ユニット、
マームとジプシーが、
ドイツのシューズブランド、トリッペンとのコラボで、
原宿のイベントスペースを使い、
70分ほどの小さなお芝居を上演しています。

マームとジプシーは時々足を運んでいるという感じで、
この間の東京芸術劇場での「BOAT」は、
設定ばかり仰々しくて、
昔の意味不明の前衛演劇の劣化コピーのような、
個人的にはガッカリの作品であったのですが、
今回の作品は遙かに小品でありながら、
マームとジプシーの本来の良さがギッチリと詰まった、
素敵なお芝居でした。

トリッペンとのコラボということで、
6人のキャストはこのブランドの別々のサンダルを履いていて、
その内容も時々CMとして、
舞台奥のスクリーンに映写されます。

物語は夏のビーチでの1日の出来事で、
ある1人の女性が、
翌日にその町を去る、
というだけのさざ波のような小さなドラマが、
独特のリフレインの演出と共に、
詩情豊かに描かれます。

役者さんの息づかいも届く小空間に、
そのミニマルなドラマが心地よく、
何もない舞台に、
観客の想像力の中で砂浜の風景が浮かび、
そこに仄かに漂う、
喪失と死の匂いのようなものが、
切なく美しい叙情を紡ぐのです。

役者さんも心得た芝居で、
作者の世界を精緻に表現していました。

空間設計としては、
もっと大空間の処理にも長けたマームとジプシーですが、
その内包するミニマルな喪失感のようなものを、
的確に表現するには、
もっと小さな空間での芝居の方が完成度は高く、
現時点ではよりその本質を感じられるように思いました。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
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