長塚圭史「MAKOTO」(阿佐ヶ谷スパイダース新作) [演劇]
こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は土曜日で、
午前中は石田医師が外来を担当し、
午後2時以降は石原が外来を担当する予定です。
今日は土曜日なので趣味の話題です。
今日はこちら。
長塚圭史さんが主宰する演劇ユニット、
阿佐ヶ谷スパイダースの久しぶりの新作公演が、
今吉祥寺シアターで上演されています。
阿佐ヶ谷スパイダースは、
個人的には何と言っても2004年の「はたらくおとこ」が衝撃的で、
あの男臭く、リアルでありながらシュールで、
過激で冷徹で暴力的で露悪的な感じなども、
そして何より時代と斬り結ぶような切羽詰まった切れ味に、
身の毛もよだつような戦慄を覚えました。
ただ、こうした作風というのは、
そう長く持続出来る性質のものでもないことは必定で、
一旦活動を休止して長塚さんが留学して以降、
再開された数本の舞台は、
中途半端に欧米風の前衛劇を気取ったような、
切実さに欠ける代物で、
長塚さんの作品に対する迷いも窺われて、
正直全く面白くはありませんでした。
2016年に「はたらくおとこ」の再演があり、
以前と同じ衝撃力のある舞台であることに、
改めて感心すると共に、
またこういう作品をやって欲しいな、
この再演はその予告編と考えて良いのかしら、
そうだよね、きっとそうだよね、
と自分に言い聞かせていたところ、
2年後にようやく長塚さんの新作が、
新生阿佐ヶ谷スパイダースの公演として、
今回の上演となったのです。
さて、そうして待望の今回の公演ですが、
以前の腑抜けのような作品と比較すると、
少し骨のある感じはあり、
現代と斬り結ぼうという意欲も感じはしたのですが、
正直どのような方向に物語りを進めるべきか、
明らかに迷いがあり、
また各方面に気を遣って、
隙を見せたり怒られたりしないように、
小細工を色々と弄しているような感じもあって、
あまり乗れる作品ではありませんでした。
内容的にはトビー・フーパーの「スポンテニアス・コンバッション」や、
怪奇大作戦の「呪いの壺」のような、
個人の私的な喪失感や情念から発したある種のパワーが、
世界を変革や滅亡に導くというドラマなのですが、
ベースにあるドラマに深みがまるでありませんし、
漫画家という設定も活きていません。
破壊衝動の向かう先にも説得力がなく、
「こんな終わり方かい!」
と突っこみなるような脱力系の終わり方にも、
とても納得はゆきませんでした。
今後も長塚圭史さんは応援し続けるつもりですが、
今回のような迷いと守りの芝居ではなく、
もっと攻めて攻めて攻めて、
その演劇的エネルギー自体で、
世界を焼き尽くすような猛劇を、
次は期待したいと思います。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は土曜日で、
午前中は石田医師が外来を担当し、
午後2時以降は石原が外来を担当する予定です。
今日は土曜日なので趣味の話題です。
今日はこちら。
長塚圭史さんが主宰する演劇ユニット、
阿佐ヶ谷スパイダースの久しぶりの新作公演が、
今吉祥寺シアターで上演されています。
阿佐ヶ谷スパイダースは、
個人的には何と言っても2004年の「はたらくおとこ」が衝撃的で、
あの男臭く、リアルでありながらシュールで、
過激で冷徹で暴力的で露悪的な感じなども、
そして何より時代と斬り結ぶような切羽詰まった切れ味に、
身の毛もよだつような戦慄を覚えました。
ただ、こうした作風というのは、
そう長く持続出来る性質のものでもないことは必定で、
一旦活動を休止して長塚さんが留学して以降、
再開された数本の舞台は、
中途半端に欧米風の前衛劇を気取ったような、
切実さに欠ける代物で、
長塚さんの作品に対する迷いも窺われて、
正直全く面白くはありませんでした。
2016年に「はたらくおとこ」の再演があり、
以前と同じ衝撃力のある舞台であることに、
改めて感心すると共に、
またこういう作品をやって欲しいな、
この再演はその予告編と考えて良いのかしら、
そうだよね、きっとそうだよね、
と自分に言い聞かせていたところ、
2年後にようやく長塚さんの新作が、
新生阿佐ヶ谷スパイダースの公演として、
今回の上演となったのです。
さて、そうして待望の今回の公演ですが、
以前の腑抜けのような作品と比較すると、
少し骨のある感じはあり、
現代と斬り結ぼうという意欲も感じはしたのですが、
正直どのような方向に物語りを進めるべきか、
明らかに迷いがあり、
また各方面に気を遣って、
隙を見せたり怒られたりしないように、
小細工を色々と弄しているような感じもあって、
あまり乗れる作品ではありませんでした。
内容的にはトビー・フーパーの「スポンテニアス・コンバッション」や、
怪奇大作戦の「呪いの壺」のような、
個人の私的な喪失感や情念から発したある種のパワーが、
世界を変革や滅亡に導くというドラマなのですが、
ベースにあるドラマに深みがまるでありませんし、
漫画家という設定も活きていません。
破壊衝動の向かう先にも説得力がなく、
「こんな終わり方かい!」
と突っこみなるような脱力系の終わり方にも、
とても納得はゆきませんでした。
今後も長塚圭史さんは応援し続けるつもりですが、
今回のような迷いと守りの芝居ではなく、
もっと攻めて攻めて攻めて、
その演劇的エネルギー自体で、
世界を焼き尽くすような猛劇を、
次は期待したいと思います。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。