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唐十郎「鐵假面」(劇団唐ゼミ☆第31回公演) [演劇]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は日曜日でクリニックは休診です。

休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
鉄仮面.jpg
唐ゼミの久しぶりの野外公演として、
唐先生が1972年に上演した代表作の1つ「鐵假面」が、
上演されました。

この作品は勿論実際の状況劇場の舞台は観ていませんが、
戯曲は大学時代に何度も何度も読んで、
リライトして映像作品の台本を書き、
一時は真面目に撮影を考えて準備をしていたので、
かなり思い入れのある作品です。

中野敦之さんは唐先生の芝居を、
一番熟知している演出家の1人だと思います。
特に原作の戯曲を殆ど一語一句変えることなく上演してくれるので、
とても刺激的で個人的にはとても信頼をしています。

今回もこの作品に2つの結末があることを初めて知りました。
おそらく初演で上演された結末は、
唐先生演じる味代が殺されるというものですが、
今回の上演では最初に刊行された戯曲の通り、
スイ子さんが刺されるという結末が採用されています。

唐ゼミは以前にも「鐵假面」を上演していますが、
その時には観ていませんでした。
従って、中野版「鐵假面」を観るのは今回が初めてです。

感想としては、
原作をとても大切に上演しているという感じで、
その点はとても良かったのですが、
役者の力量にかなり凹凸があって、
唐先生の台詞を、
想定された生き生きとした台詞回しと迫力とで、
伝えてくれた役者さんは少数であったのが、
少し残念ではありました。

また、これは意図的なものだと思うのですが、
場面の切り替わるタイミングで、
ちょっとリアクションするような間を取ってから、
音効が入って切り替わると言う感じになっていて、
それがどうもテンポを悪くしているように感じました。

唐先生の作品は、
かなり強引に現実と幻想が切り替わったり、
笑いの場面とシリアスな場面が切り替わるのですが、
それをかなり過剰に思える音効のカットインと、
照明の大胆な切り替えで可能にしているんですね。
あのテンポ感は独特のもので、
僕も大学時代に唐先生のお芝居を上演したことが、
何度かあるのですが、
普通のお芝居のように、そのままの流れで台詞を言うと、
唐突な展開でブツ切れのような感じになり、
とても成立しないんですね。

勿論「鐵假面」の初演の時に、
既にそうした演出であったかどうかは、
分かり様はないのですが、
今普通に聞くことの出来る音源で最も古い、
「唐版風の又三郎」の初演の録音を聞くと、
既にそうした演出がされていることが分かります。

今回の上演ではおそらく敢えて、
そうした音効の入れ方やテンポ感を、
採用しない演出がされているのですが、
結果としては難しいな、というように感じました。
唐先生特有の台詞をまくしたてることろがあるでしょ。
そこがどうしても浮いた感じになってしまうんですね。
後半の裁判のところで、
ヒロインが劇中歌を2曲歌って、
その間に台詞が挟まるところがあるんですね。
これはもう唐芝居の抜群の聴き所なのですが、
それを普通のお芝居でやってしまっているので、
何か弾まなくなっているんですね。
また特にこの「鐵假面」は、
即興劇的な展開、
街中の公衆便所に、色々な人がやって来る、
という趣向が取られているので、
その自由度の魅力よりも、
全体の取っ散らかった散漫な感じが、
強調されてしまったような気がしました。

すいません。
少し意見するような感じになってしまったのですが、
久しぶりの唐ゼミの舞台は矢張り楽しく、
これからもその上演に期待をしたいと思います。

頑張って下さい!!

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
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