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「ボーはおそれている」 [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は日曜日でクリニックは休診です。

休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
ボーは怖れている.jpg
鬼才アリ・アスター監督の新作が、
今ロードショー公開されています。

アリ・アスター監督は、
「ヘレディタリー継承」が、
ポランスキー監督の某作を見事に換骨奪胎した大傑作で、
次の「ミッドサマー」も「ウィッカーマン」を、
極彩色でリニューアルした、
大ほら吹きのようなカルトでした。

それで次はどうするつもりだろうと、
待ちわびていたのですが、
今回はボーという、
ホアキン・フェニックスさん演じる謎の中年男が、
母親を求めて奇怪な旅を続ける様を、
アメリカ映画の全ての要素を詰め込んで、
それをグロテスクに解体したような異様な肌触りで、
3時間に渡り綴られた大作でした。

感想は…
うーん…
大好きなんだけど、
出来としてはモヤモヤする、
という感じがありました。

今回はそう「地獄の黙示録」みたいな感じですね。
圧倒的な迫力の地獄巡りが、
挿話を連ねたような様式で、
次々と終わることなく続いて行くのですが、
最後までその本質みたいなものには、
触れないままに終わったしまった、
というような感じがある映画でした。

個人的にはとても面白くて全く退屈は感じなかったんですね。
3時間も長いという感じはしなくて、
むしろもっと長くてもいいと思ったくらい。
逆に言うと、この程度で終わったしまったら、
ちょっと残念だな、
という感じが最後まで残ってしまいました。

まずボーという人がどういう人なのか、
良く分からないんですよね。
生活の輪郭が全く分からなくて、
働いているのかいないのかも分からないし、
貧乏なのか裕福なのかも分からないですよね。
最後になって、こういうことでした、
みたいなネタばらしが一応あるのですが、
それを聞いても、やはり良く分からないんですね。
通常の映画にあるような、
「この人はこういう人です」みたいな説明が、
この映画には一切ないからなんですね。

普通はこういう主人公の設定の良く分からない話というのは、
最後になると、ネタバレがあって、
それが分かるように出来ているんですが、
この映画はネタバレはあっても、
それがまたあまり辻褄があっていない感じなので、
腑に落ちた、というようなカタルシスがないのです。

屋根裏に秘密があって、
最後に上って行くのですが、
そこにある秘密というのが、
これもとても納得のゆくものじゃないんですね。
この辺りも「地獄の黙示録」に良く似ていて、
物凄く勿体ぶった前振りをしているのに、
「えっ、これで終わりなの?」
という感じがあるのです。

多くのアリ・アスター監督のファンにとって、
おそらく今回の映画は、
納得のゆくものではなかったと思うんですね。
次作は同じホアキン・フェニックスさんの主演で、
ウェスタンだそうですから、
「またどうなのかなあ」という危惧はあるのですが、
それでも熱烈なファンの1人としては、
その公開を心待ちにしたいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
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