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コーヒーの急性の健康影響 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
コーヒーの短期効果.jpg
the New England Journal of Medicine誌に、
2023年3月23日ウェブ掲載された、
コーヒーの急性の健康効果についての論文です。

コーヒーを1日3から4杯程度まで飲むという習慣が、
糖尿病や心血管疾患、肝臓病などのリスクを低下させ、
総死亡のリスクも最大で2から3割程度低下させるという知見は、
これまでの多くの疫学データで実証されている事実です。

ただ、これはそうした習慣が影響しているということで、
コーヒーを飲んだ場合の急性の効果を確認している、
という訳ではありません。

コーヒーには交感神経を刺激する作用のあるカフェインが含まれていて、
それが心臓に負荷を掛けて、
不整脈などが増えるのではないか、
という指摘があります。

ただ、脈拍や不整脈などが増えたとする研究結果は、
主に大量のカフェインを摂取した実験によるもので、
実際に嗜好品として飲む程度の使用により、
どの程度の影響があるかについてのデータは限られています。

今回の研究はアメリカにおいて、
18歳以上の健康な100名の一般住民に、
カフェイン入りのコーヒーを自由に飲んでもらった場合と、
カフェインを含む飲み物を原則中止してもらった場合を、
それぞれ14日ずつ施行して、
その間の不整脈の状態は睡眠時間、歩数などの健康情報を連続的に計測して、
その違いを比較しているものです。

その結果、
ノンカフェインの飲み物を飲んでいても、
カフェインの入ったコーヒーを飲んでいても、
上室性期外収縮という不整脈の頻度には、
有意な差は認められませんでした。
一方で心室性期外収縮のリスクは、
ノンカフェインと比較してカフェイン入りのコーヒーでは、
1.51倍(95%CI:1.18から1.94)と有意に高く、
1日の歩数は平均で1058歩多く、
睡眠時間は平均で36分短くなっていました。

つまり、カフェイン入りのコーヒーを飲むことにより、
心室性の不整脈はやや増加し、
日中の活動性はやや増加、夜の睡眠時間はやや短くなる、
という傾向が認められました。
ただ、これはいずれも極僅かな変化で、
特に心臓に持病などがない人であれば、
カフェイン入りのコーヒーは、
特に健康上の問題なく飲むことは可能であると、
そう考えて良いようです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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